- 山行記録
神奈川岳連・冬山教室/富士山 氷雪実技講習
日時:2月11日(土)?同12日(日)
場所:富士山吉田口登山道5合目周辺
MSC参加者:講師/門脇、清野 受講生/作田、池田、須藤
2月10日(金)正午、昼間入山組の生徒6人、岳連の他の雪山講習も含めた講師の方6人の12人が富士吉田駅に集合、スパッツ等の足回りを装着し予約したタクシーに乗り込み登山道へ向かう。雪が少ないためか運良く、”馬返し”まで行くことができ下車。1時過ぎ、即座に登山道を登り始め4時過ぎに5合目佐藤小屋着。3時間余りの登りで息はそれ程あがらないのだが、何となく体が重く、切れが悪い。昨年末からの、なんとなく風邪気味状態に気をとられ、事前のトレーニングを怠っていたせいだろう。別にいつも大したことをしている訳ではないが、階段の登リ降りを繰り返すだけで大分違う。 6時頃の夕食まで、講師の方々と一杯入れて談笑。山の世界に入って未だ1年にも満たない新入りの自分が、この道何十年の強者の方々の話を聞けるのは、興味深く、ありがたい。殊にKさんの豪放磊落ぶりには驚いた。夜中にトイレの扉を開けると、便器の上に座り、あの頭をうなだれて寝入っているのにはビックリ!。翌朝の”またやっちゃたか”に2度ビックリ。
夕食を摂って、9時過ぎに寝室に入る。噂には聞いていたが、この部屋はともかく寒い、いや冷たい。寝具は聞いていたほどの”煎餅布団”ではなかったが、部屋が冷蔵庫というより、チルド室状態。幸いこの日は宿泊客が少ないので、周囲の布団、毛布を掻き集め何枚も重ね、凌ぐことができた。
翌朝6時起床の予定であったが、夜半組の睡眠を考慮し7時前起床、朝食を摂り9時過ぎから以下の通りに実技演習。
1.アイゼン歩行?始めの一歩
先ずアイゼン歩行訓練を各班(4班)に分かれ佐藤小屋周辺で行う。バンドの長さ、締め付け方等何人かアドバイスを受けるが、概ね順調。
2.斜面でのアイゼン歩行
スバルラインを西側に500m程行ったところの斜面に全班移動し、歩行及び滑落停止訓練。始めにアイゼンを履いての歩行登攀。足裏全体を接地し、アイゼンの爪全部を効かせて雪面を歩行。登りは良いが、下りが上手くいかない人が結構多い。踵から接地してしまいがちに要注意。
3.滑落停止
次にアイゼンを付けたままの滑落停止訓練。これが今回の訓練の核心と言える。
先ずは、斜面に仰向け状態から右回りに腹這いになり、ピッケルのピックを右胸の辺りで右手(利き手)で斜面に刺し体重を載せ、左手はシャフトの下を左腹の辺りで握り、かつ両脇をしめて停止する。アイゼンが接地してひっかからないように膝から下を折って上げる。それが出来れば今度は左周りに一回転して同じことをやる。ここで大事なのはピックにしっかりと体重を載せること。これが充分でないと、ピックが体から離れ、上方に残ってしまいぶら下がり状態となり、ピックが突き刺さらないためズルズルと落ちてしまう。(何だか出来の悪いマニュアルを書いてるみたいだ。経験者にはあまりおもしろくない。来年の新人の方への体験談かな、これは。)次は、頭から斜面にうつ伏せになる逆さ状態からの滑落停止。斜面に立って下に飛び込むようになるので、結構勇気がいる。頭、胸から飛び込んでうつ伏せになった後、先程と同じようにピッケルを雪面に刺し込むと、ピックを支点として自然と体が時計回りに回転して停止状態に入る。
飛び込む分、勢いがついているので、先程のように簡単には停止してくれない。ピッケルを抜き直して、2度、3度ガツンとピックを刺し直す人もいる。僭越だが、私には刺し直しはあまり意味がないように思える。抜いている間にまたズルズルと落ちてしまい、まして勢いが着いてしまうように思える。それだったら、ピックを体に引き寄せてしっかりと体重をかけた方が良いのではないか。私はずっとそれで通した。勿論斜面、積雪の状況によるにも違いないが。
最後は背面、頭からの滑落状態での停止。斜面を後ろにして後頭、背中から飛び込むのだから勇気だけでなく、少し複雑な動作を整理する頭も必要に思える。ただ実際にやってみると頭はあまり必要ないことが後で分かる。
久保田講師が1人目を30才代と思しき人(年齢は関係ないか)を指名する。見事に成功。
2人目に私が指名される。ドキドキしながら斜面の飛び込み台に上がる。あまり考えずに飛び込んでみる。仰向けになって頭から斜面を落ちる自分が分かる。分かるが、肩から吊るしたピッケルバンドがアイゼンに引っ掛かってしまったのが目に入る。瞬間どうしていいか分からない。はずそうかと思っているうちに、スルスルと滑落し続け下にいるギャラリー(ストッパー)に頭から突っ込んでしまった。 くそっ!思いは、恥ずかしいより実に悔しい。
これ以上は危ないからということで背面飛び込みの訓練はこれで終わってしまった。
その後の休み時間に、清野さんに見守ってもらって背面、頭からの滑落停止を試みる。今度は出来た。ほっとする。頭から下に背面滑落したら、右に反転しながら例の如くピックを右胸の位置で突き刺すと、そのまま反転すると同時にピックを支点に体が上から下に回転する。つまりは、頭が上へ足が下へ時計回りに回転する。
見た目程複雑ではない、滑落状態になったら、右に反転してピックに体重を載せて突き刺せば、勢い、体重、ピックの支点で自動的に滑落停止の体勢になる。
背面から飛び込むので勇気がいるのと、回転動作に気をとられて膝を曲げてアイゼンが接地しないように要注意である。
4.斜面でのアイゼン無し歩行
いわゆるキックステップを使った歩行。直上する時には雪面に鉛直に直角で蹴りこみ、つま先回りの水平の棚を作り、右、左と繰り返しながら登っていく。
トラバースする時は、谷足(斜面に立って谷の下側になる足)を20?30度開き、逆の足は斜面に平行にキックステップする。このトラバースは斜め上気味に登るのは問題ないが、斜め下に下りるのが少し難しい。谷足のキックステップが、下に足、体を落としながらやるのでバランスを崩しかねない。清野さんに聞いたところ、下りのトラバースは登りのそれと比べると半歩ずつ行った方が良いと聞いて得心する。
直下降は結構難しい。アイゼン歩行とは違い、踵を雪面に鉛直、直角に落とす。体重を充分に載せないと、踵が雪面にめりこんでくれず、スリップして転倒してしまう。片足が接地すると同時に残った後ろ足は雪面から離れていないと、体重が載ってくれない。恐る恐るやると後ろ足が残って前足踵に重心が移動せづ、のけぞって尻餅をつくことしなる。
2、3回繰り返して、何とか体裁を整えることができたが、まだ少しぎこちない。
作田さんが非常にうまかった。体の大きさといい、身の動かし方といい何だかロボコップのようなのだか、実にしっかりと踵で雪面をとらえて降りている。井上講師にしきりに褒められていた。いつも門脇さんにボロクソやられているが、この時はまるで水を得た魚のよう。
5.カンジキ歩行
斜面での歩行、滑落停止訓練の後、小屋への帰り際に斜面の小樹林帯にてカンジキを装着して歩行訓練。少しきつめの斜面で下り登りするが、結構息があがる。カンジキが雪にめりこんでそれを持ち上げる際、雪を引っ掛ける。その時重いからと充分に脚をあげないと、次の一歩が充分に前へ出ず、進まないことになる。
とにかく充分に脚を上げること、というのが門脇さんの指摘だった。
上記一連の訓練を終えて、3時半頃小屋へ到着。装備類を整理して、体を温める。その後一杯飲りながら、各班毎に次回谷川の打ち合わせ。そして夕食は鍋。大いに食べて、飲んで早い人は8時に、大概の人も9時頃就寝。昨日より大勢になったせいか寝室が昨日より暖かい。ぐっすり心地よく眠れた。
翌朝6J。忘れかけていたところなので、復習できたのは良かった。
その後は、昨日と同じ斜面で2グループに分かれて滑落停止訓練。各自数回行うと、慣れたもので皆、恐怖心、体の硬さが取れすんなりとやってのける。中にはアクロバットのように飛び跳ねているような人も。皆、動きに停滞がないので、直ぐに自分の番となって休む暇がなく、息があがってくる。11時少し前となったところで、小屋に戻り、昼食をとり、荷物をまとめて下山準備。
1時前に下山を始め、1時間半ほどで、全班無事”馬返し”着。終了式を行い。班毎にタクシーに乗り込み、解散となる。
今回の講習は、雪上歩行と滑落時の停止という雪山での本当の初歩であったが、その初歩でもかなり難しいことを改めて理解する場だった。滑落停止はもとより、雪上歩行も思っていた以上に難しい。講師の方々が仰るように、山行の都度意識して繰り返し反復しないと自分のものとはならないことを肝に銘じたい。
以上
参加者: CL・記録/両角なつ子 SL/両角充康 小笠原早苗
翌日は総会。せっかく丹沢に集まるのだから前日に訓練山行をということで、ボードとハイキング(2組)に分かれ実施。わが班の記録は小笠原さんの担当であったが、私が代筆させて頂く。またもや思い出し記録であることをお許し願いたい。
なんたって初めてのCLなのよ。たかがハイキングと言うなかれ、たかが三ノ塔と言うなかれ。それに私もどの程度歩けるのか自身で確認したかった。そこで、ほがらかにお喋りしながらゆったりと林道を歩く小笠原さんに言った、「今日は訓練山行だから、訓練のつもりでしっかり歩こうね。」 だってさ、このワタシが。まあ本人としては気合を入れてきたつもりなのである、笑っちゃぁいかんよ。
烏尾尾根は人が集中しないので、表丹沢の中では趣があるほうなのではないだろうか。最初は急登が少し続く。モロちゃんはどんどん私の前に小さくなっていく。小笠原さんは少しずつ私の背後に小さくなっていく。ん、どうしたらええ。急登が終わるあたりで休憩を一発入れようと思っていた。ところが到着すると、モロちゃんいないじゃん。どうしたらええ。烏尾頂上まで行って休憩すればいっか。歩き出すが心が落ち着かず、戻ってみたり、進んでみたり。結局頂上で待つことにしたのだが、ダメじゃんモロちゃん、一人で先行っちゃ。
三ノ塔への尾根は氷っていて、小笠原さんと一緒にチェーンを装着した。頂上で待っていると、「チェーンを片方失くしてしまって歩きにくかったぁ」と言いながら彼女到着。ここで密かに喜ぶ不謹慎な私。やっぱワシも授業料少しは払っとるけんね、ベルトで固定するワザ知ってるけんね、ふっふっふっ。
下山も三人バラバラであった。ここでも迷ったが、やはりSCで待つことにした。雪がチラホラしはじめた頃、小笠原さんは戻ってきた。どうしたらよかったんでしょう、こういう場合。メンバーをバラバラにしてしまった不甲斐ない私でありました。
メンバー:西舘彰芳 章子
総会前日、山岳SC泊まりなので久々に丹沢を歩いてきました。一昨年は山といえば丹沢だったのに、昨年は八ヶ岳から谷川、奥多摩と転戦し、丹沢を歩く機会もありませんでした。しかもよく考えてみると会に入ってから夫婦で歩いたことがない。原点である丹沢、それもヤビツからというコースを選びました。
ほんとは蓑毛から歩くつもりだったんですが、偶然(w 来たバスがヤビツ行きで、なんとなく終点まで乗ってしまいました。峠は前日雪が降ったようで2センチほどの積雪。9:05出発。富士見小屋経由で三ノ塔への道は、ちょうどイヤな感じで雪と氷と岩がミックスしていて、滑る滑る。
門脇さんから「滑り止めがあるといーんでねーの」と助言いただき、四十八滝沢では使わなかったゴムバンドを装着。これが効きました。もっとも西舘(♂)は土踏まずより前に締めてみたもののいつのまにか脱。休憩中に後からきたおばさんに「片っ方拾ったわよ」と持ってきてもらう体たらく。もう一方はついにみつかりませんでした。まあ昨年のきのこ山行で同じやつを片方壊したのがあるので、これでペア。
さて三ノ塔尾根は下りが凍った場所とグズグズのミックスで気が抜けない道のり。ホントは三ノ塔頂上で両角さんたちと(ぐうぜん)出会って美味しいうどんのお裾分けを狙っていたのですが、それもかなわず12時に山岳SCに到着しました。
途中のベンチで。富士山がよく見えます。

凍っていたりグチャグチャだったりと足下はひどいもんです。

汚くてごめんなさい。右足を見るとバンドが見えます。簡易アイゼンですが岩でも邪魔しないので安心して下れます。かもしかで1000円弱でした。

三ノ塔頂上。冬の間に一度縦走もしてみたいものです。




金曜門脇さんの工場へ道具を持って伺ったところ、話の流れで急遽鷹取での訓山が決まりました。直前の決定だったので参加者は金曜のまま3名、先日のアイスクライミングの反省を兼ね、基本と道具の使い方のチェックをおこないました。
場所はいつもの崖仏の裏。いつもの壁にトップロープをかけ、アックスとアイゼンで登りました。アックスは意外と利くもので、途中でハーケンのセットも体験しました。この際のフィフィの使い方について、非常にためになるやり方を教わりました。
またアックスのリーシュの使い方も「ただつけているだけ」では全然利かないことを知りました。この壁でトップロープで数本やったあと、裏面の3倍ある壁にロープ設定。こちらは最初っから足場がなかったりかぶっていたりで、西舘×2は1/3で頓挫。こちらは陽当たりもよく壁が乾いていてアックスも利かないので、苦労しました。
鷹取はアイスの訓練にも十分利用できます。少し集中してやりましょう。
その後上大岡で反省会。ここには寺本さん、清水さん、樋田さんも参加されました。
28日の門脇工場、アイス装備のチェックからはじまりました。中央左は今年の冬山講習主任の久保田さん。

アックスのリーシュの使い方。我々2名は完全に間違っていました。

門脇さんの足下。アイゼンの使い方を勉強します。

裏壁は西舘×2は敗退。今後の目標となりました。




メンバー 清野 両角 山本
28日に鶏冠谷枝沢・奥飯盛沢に両角・山本・せいので行ってきました。道の駅「みとみ」は風が通ってとても寒くて、鶏冠谷手前の徒渉がいやでしたが、なんと沢床は
完全結氷してました。
奥飯盛沢は出合いからいきなり3段100mの滝が続いていて、なかなかのものでした。時間が無くて上部は登れませんでしたが、今冬中には登るつもりです。
※記録は下にあります。

下部

下部2P目

左下部50m

上部30m

本流12mナメ滝




