- 山行記録
山域/形態:南八ケ岳・阿弥陀岳 南稜/雪稜
日程:2004年4月2日夜出?5日朝帰り。
参加者:CL渡辺、SL(Iさん) (記録:渡辺)
突如として雪のついた阿弥陀岳を登らずにはいられなくなった。
4/2(金)深夜から4/3(土)早朝。八王子から夜行急行のムーンライト信州号にて茅野で下車。5:20まで駅舎で仮眠。6:10タクシー乗車。(交渉して\5000.-で落札)6:45水場に着。林道から立場川を渡渉後凍った林道通しに進む。正面から朝日がまぶしい。積雪少。8:00旭小屋着。大休止。仕事疲れ+寝不足によりやや体調不良。
旭小屋から尾根に雪ゼロの斜面を急登する。尾根に上がっても積雪ゼロ。晴天。無風。高度2000m程度から氷斜面。アイゼンなしでフラットステップ。ふくらはぎが疲れる。2200mから先急に積雪豊富となる。11:00樹林帯に囲まれた立場山山頂。積雪豊。トレース有り。時々抜けると脛まで潜る。11:30青ナギ手前樹林帯にて大休止。阿弥陀岳が迫り立つ。雪煙舞うが、南稜P3・P4ルート観察可能。風強し。次第に晴天から曇空へと変わる。疲労大の為ここで整地して今夜の幕と決める。13:00天幕設営終了し昼寝。17:00昼寝から起床、晩飯。降雪の予感。
4/4(日)3:30起床。シンシンと雪が降る。風弱。青ナギでも新雪の積雪多。「同ルート下降撤退の目安を、P3到着=9:00まで。」とし、アイゼン装着し6:00出発。無名峰までの樹林帯に入ると深雪ラッセル腿まで。左方から風止まず。降雪続く。P1・P2のコル風強し。眼鏡が凍り付き役に立たなくなる。
8:40 視界10m程度の中P3基部につく。ルンゼ内をバンドで伝う。リッジを回りこみやや下降する。右上するP3ガリー確認。アンザイレンして3ピッチ。(1P=ガリー内ボルト支点、2P=右上部潅木、3P=P3ガリー終了点ハイ松)チリ雪崩多し。下方からの吹雪強し。10:40 P3抜ける。小休止。10:50出発。
11:00 P4着。広めの雪原の基部。左からへつる。視界悪く高度感無し。アンザイレン2P。(1P=へつりから入りミックスの岩を攀じる。雪から掘り起こした親指大の潅木2本から鰯結びでビレー点工作。12:20 2P目で頂上直下テラス着。)風雪強く視界悪い。まつげが凍り付く。
P4終了点(テラス)岩壁の残置支点から阿弥陀山頂へ最後の1P。氷壁のジェードル内残置支点でランニングをとる。上部は胸までの深雪。垂直に近いラッセルを10m~12m越えた。指導標が頭だけ見える。頂上。アックスビレーで笑顔のIさんを迎える。13:00。視界5m~7m。降雪止まず。風強し。
小休止のち、地図上でコンパスを中岳コルに合わせてアンザイレンのまま下降開始。 30?40m程下降すると岩峰。右へ回りこむ。やや右へ傾いた針の通りに下山がはかどらない。左に岩稜を見つつ急斜面の樹林帯の中でのスタカットを何回も繰り返した後、刹那Iさんが落ちる。上からの確保。衝撃。止まった。大声で呼ぶ。返事がない。メインにプルージック。潅木につなぎ自己脱出。少し降りたところでIさんの声届く。無事。ガスが晴れる。左に明確な尾根。その前方に中山。そしてその先に鉱泉小屋。阿弥陀北稜にほぼそって下降しているらしい。雪崩の危険を感じる地帯での緊張するトラバース一回で北稜から派生する尾根に頼る下降に完全に切りかえる。忠実に尾根を下降したのち右の平坦な沢へ降りる。腰上までの深い平坦なラッセルを50m~100m。右後方上方に主稜が誇らしい。赤岳展望荘確認。頂上はガス。程なく行者小屋の屋根が見えた。薄暗い。単独行天幕一張のみ。しんしんと降雪続く。行者小屋一階の屋根下で荷を下ろす。17:30。無風。静。Iさんが言う。「絶対今日中に美濃戸まで降りたい。」
18:30 1時間の大休止の後美濃戸口へ向けて南沢登山道下降開始。へッ電を点け、広い雪原の中窪道がうっすら続くのをたよりに進む。程なく暗闇となる。21:00近く南沢登山道の渡渉点に気付かずに直進、適当な弱点から渡渉すると正面に堰堤。ついにここで力尽き21:30天幕ビバークとなす。十分な食料なく、早々にシュラフにもぐる。Iさん発熱。カイロで暖を取らせる。降雪続く。雪明りで明るくも長い夜。
4/5(月)5:30起床。Iさん驚異的な回復力で全快。6:00出発。晴天。白銀の世界。程なく美濃戸山荘につく。左後方に昨日立った阿弥陀の山頂。雪煙がまっていた。携帯からタクシーを呼ぶ。美濃戸口に7:00過ぎ着。タクシーで茅野駅まで。8:30特急まちの茅野駅ホームから互いに職場への連絡を取った。
既に平日の朝が穏やかに始まっていた。一度として弱音を吐かなかったIさんに感謝したい。
自主山行/スキー登山 平標山・巻機山
2004年3月25日(木)夜発?27日(土)
メンバー 中山 青木 菅原(記録)
25日
横浜駅にて往復割引切符「スキップ上越」を購入し、東京駅から新幹線に乗って一路越後湯沢駅へ。越後湯沢駅22時着。駅近くの「ビジネスホテルやなぎ」泊。
26日
くもりのち雪 5:30起床。越後湯沢駅6:05発のバスで平標山登山口へ。40分程。別荘地に入り、林道を進む。すぐに雪道となり、スキーにシールを付けて歩く。しばらくして足首辺りに違和感を覚える。靴擦れの始まりである。計画ではヤカイ沢沿いを登る予定であったが、ヤカイ沢の入口を通り過ぎてしまい、平元新道まで行くと遠回りになるので途中の尾根を登ることにする。すぐに林の中の急登となる。傾斜がきついとシールが上手く効かせられず、高度がなかなか稼げない。体力も消耗する。シール登行がヘタなのを思い知らされる。
青木、中山は順調に進んでおり、途中で私を待っててくれる。天気は下り坂、風も出てきて雪が舞い出す。平標山への稜線に辿りつくと強風が吹いている。私がバテたこともあり、平標山の山頂は踏まず、坪庭辺りから下山することにする。下山はヤカイ沢沿いを滑降する。ヤカイ沢の降り口を間違えることもあったが、滑降の途中、陽が差すこともあり、まずまずのスキー滑降となる。林道を経て別荘地まで下る。平標山登山口でバスに乗り越後湯沢駅へ。越後湯沢駅から上越線に乗って六日町駅へ。六日町駅からまたバスに乗って清水へ。民宿上田屋泊。
27日
くもりのち晴れ 5:30起床。7:20民宿上田屋の裏からスキーをはいて出発。米子沢の橋を渡り、井戸尾根へと進む。やがて傾斜が強くなり、井戸ノ壁と呼ばれる、さらに傾斜のきつい登りになる。シールが上手く効かせられない。ここでも、ルートファインディングとシール登行のヘタさを思い知らされる。なんとか井戸ノ壁を登り切り、広くはないが平坦になった焼松という所に出る。青空が広がっている。右に米子沢の谷が眺められる。ここで休憩するが、私は井戸ノ壁の登りで相当体力を消耗している。
焼松を出発するが、青木、中山にどんどん遅れていく。ようやく尾根が広くなり、傾斜も緩くなった雪原に着く。正面に檜穴ノ段と呼ばれる高台がでんと構えている。ニセ巻機の山頂が眺められるが、バテた私には遠く遠く感じられる。左側にヌクビ沢、天狗岩。中山の説明も私はうわのそらで聞いている。青木、中山は檜穴ノ段をスキーで登って行くが、私は体力に不安を感じ、スキーをはずしザックに付け、ピッケルを出しつぼ足で直登することにする。息が切れる。雪の下は笹と低木である。ようやくのことで視界が開けて広い台地に出る。
青木、中山はニセ巻機まで行って来たらしいが、私はここまでとし、滑降することにする。天気は上々だが、滑りを楽しむ気分ではない。とにかく足が痛い。腿が張りスキーを押さえられない。ボーゲンと横滑りをくり返してなんとか民宿上田屋に辿り着く。帰り支度をしてタクシーで越後湯沢駅へ。越後湯沢で蕎麦を食い、風呂に入る。19時半発の新幹線で一路東京駅へ。自宅に着いたのは23時頃になる。顔の日焼けと両足の靴擦れが残る。
焼松を出発するが、青木、中山にどんどん遅れていく。ようやく尾根が広くなり、傾斜も緩くなった雪原に着く。正面に檜穴ノ段と呼ばれる高台がでんと構えている。ニセ巻機の山頂が眺められるが、バテた私には遠く遠く感じられる。左側にヌクビ沢、天狗岩。中山の説明も私はうわのそらで聞いている。青木、中山は檜穴ノ段をスキーで登って行くが、私は体力に不安を感じ、スキーをはずしザックに付け、ピッケルを出しつぼ足で直登することにする。息が切れる。雪の下は笹と低木である。ようやくのことで視界が開けて広い台地に出る。
青木、中山はニセ巻機まで行って来たらしいが、私はここまでとし、滑降することにする。天気は上々だが、滑りを楽しむ気分ではない。とにかく足が痛い。腿が張りスキーを押さえられない。ボーゲンと横滑りをくり返してなんとか民宿上田屋に辿り着く。帰り支度をしてタクシーで越後湯沢駅へ。越後湯沢で蕎麦を食い、風呂に入る。19時半発の新幹線で一路東京駅へ。自宅に着いたのは23時頃になる。顔の日焼けと両足の靴擦れが残る。
日程:3月20日?21日
参加:渡邊・寺本・西村・野口(記録)
後日アップします。
日程:3月 13日
参加:細谷・清水・菅原・寺本・青木(記録)
記録提出済み。
後日アップします。
山域/形態:上越・谷川岳 西黒尾根/雪山登山
日程:2004年3月13日夜出?14日下山。(前夜発日帰り)
参加者:CL渡辺、SL(Iさん) (記録:渡辺)
4:00起床、一部改装されたプラザの床暖房がとても熱く寝苦しい夜だった。4:50発。まだ暗い中をへッ電をつけ指導センター前から林道通しで進む。西黒尾根への最短のトレースは何処かと気にしつつも分からずじまいで、小さな小屋が見える所まで来てしまう。その先にとても大きな厳しい岩壁が見える。すこし戻り、休憩を挟んで明るくなるのを待つ。6:00、青空交じりの空に送電線を見つけたのでその真下からわかんにてラッセル開始。よくしまった3月の雪をすねまでのラッセルで直上。6:15、鉄塔に着く。わかんのまま、樹林の稜線伝いに登る。マチガ沢からの風が雪を乗せて断続的に吹きつける。空からも降っているように見えた。基本的には高気圧基調だったので一時的な風雪と思われた。目出帽を忘れたIさんにスペアを一つ渡し着けさせる。ラクダのコブの森林限界までの間、多い積雪の場所が断続的に続く。トレースは一貫してついている。Iさんのわかんバンドが何度か外れてしまうのでその度にきっちりと締めなおす。9:50頃、森林限界手前あたりと思われる斜面途中にてわかんからアイゼンに履き替える。風にあたりながらのこういう作業は手袋も湿ってくるしストレスとなりがちだ。
10:15ラクダのコブの手前の最初の急傾斜を登る。鎖が一部露出。右には東尾根下部が見える。シンセンコルはガスで見えない。最初のラクダコブは雪面を直上したのち先に下降するIさんをコブ最上部にて上から20mロープで確保する。いきなり2m程Iさん滑るが無事に止まる。スタカットで二つ目を越えようとすると、その先の積雪が少々足りない。岩稜をいかずに下にいたIさんから先にマチガ沢側からのトラバース。Iさん雪着き悪い斜面を怖がる。上から確保してるので臆せず行くように激を飛ばすも、実際フォローしてみるとこれは、やはり怖い。ラクダのコブを越えたのち、雪稜はしばらくなだらかになり、青空が広がり風もほぼ無風となる。ときおり歩をとめ両端が切れ落ちた雪稜上で小休止をとる。その先に圧倒的な大きさの雪壁がある。Iさん先で確保無しにて1歩1歩登る。上から3人パーティーが正対して下降してくる。話を聞くと懺悔岩の上で乗り越しができずに引き返すらしい。今日は彼らのトレースの泥棒をしていたようだ。やり過し、コンパスを見てガスでみえない頂上の方向を見る。じっと見る。じいーっと見る。一時ガスが晴れる。左斜めを見ると懺悔岩が見える。その右手上方に露岩がある。あの間を超えていくのが夏道だっただろうか。小休止する間に期せずして単独男性に追い越される。見守ると直上したのち、まっすぐ上の雪庇をさけ左側の薄い雪庇へとトラバースして弱点から乗り越えていった。11:30、雪の状態さほど悪くないようなのでトレース泥棒自認しつつ彼に倣う。20mロープで足りないので途中までじわじわと左へ進んだあと、Iさんにロープ流すだけにしてもらい先に抜ける。スタカットでIさんも抜ける。西黒沢源頭部斜面側に出たのだと悟る。
一変してホワイトアウト。強めの風。コンパス見る。まっすぐ左トラバースで肩の小屋のはず。左側に人声。山スキーヤーに出会う。先行者のトレースは頂上を目指しているが、ピークハントを既に暗黙的に回避してしまった我々は天神尾根方向へと向かう。小屋が見えて中へ入ったのが12:50。昨年夏に新装されて中は完全土禁。コーヒーを沸かして行動食を摂る。
13:50発。風強いので二人とも目出帽を被り天神尾根を下る。一転して晴天。俎板がきれいに見える。天神平も見える。晴れ渡った上越の空をゆっくりと下っていった。15:20天神平着。ビール軽く呑み、ロープウェーで16:00プラザ着。事故もなくよい週末だった。