- 山行記録
2016年2月27日 谷川岳一ノ沢 左方ルンゼ
メンバー 古屋・栗田・筑後
前回より氷の露出は多いが、気温が上がり過ぎ始終スノーシャワーを浴びる
雪に埋もれたF5は登らず下降する。春山でした。
下山後あしまえん、約1名ここでも敗退
メンバー 古屋・栗田・筑後
前回より氷の露出は多いが、気温が上がり過ぎ始終スノーシャワーを浴びる
雪に埋もれたF5は登らず下降する。春山でした。
下山後あしまえん、約1名ここでも敗退
日程:2016年2月27日〜28(日)
山域:南アルプス 鳳凰三山
山行形態:縦走
2/27(土)快晴。タクシーで夜叉神登山口へ向かう。スタートして暫くは、雪が全くない樹林帯の登山道歩き。1時間ほどで夜叉神峠に到着。青空の下に、北岳・間ノ岳・農鳥岳が良く見えた。
夜叉神峠からの眺め
夜叉神峠から杖立峠までは急な登りを経て、凍りついた雪道歩き。登りだったので、アイゼンを付けずにそのまま進んだが帰りはアイゼンが必要だねなどと話す。途中で追いついた他のパーティも慎重に歩いていた。
杖立峠から上は漸く冬山らしい雪の量となる。「山火事あと」付近まで登ってきたところで、樹林の向こうに北岳が雲をかぶりはじめているのが見えた。ヤマテン情報によると、土曜日の午後は崩れるということであったが、まさに予報通り。雲が北岳から鳳凰山に到達する前に、テントを張ってしまいたい。長い登りに徐々に足の運びが重たくなってくる。が、我慢して歩いていればいつかは到着するもので、13時頃ようやく予定地の南御室小屋に到着した。と同時に青空に雲が現れてチラチラと小雪が舞い始める。トイレや水場からは少し離れた樹林の中にテントを張ることにし設営を開始。雪が少なく整地が不要だったうえ、水場はちゃんと掘り出されていて(雪に埋もれていて見つからない場合もあるらしい)、綺麗な湧き水もすぐに入手できたので、14時頃にはテントの中で寛ぎモードとなった。
午後からの風雪は夜になっても続いて、シュラフに入っても風の音が聞こえて時折目が覚めた。翌日の天気が気になるが、南御室小屋周辺は電波状況が悪く、天気予報のUPDATEはできなかった。
2/28(日)風もやんで快晴。豪華うどんを朝食にいただき、6時半に南御室小屋を出発。青空&降りたての白い雪の中を進む。気分よく、薬師岳まではあっという間に到着した。雪とザレ場のミックスの稜線も特別難しい箇所はなく、トレースもあったので、観音岳にも順調に辿りつくことができた。
観音岳から先のトレースはやや薄く判りづらいものになっていた。ルーファイで若干ペースが落ちたこともあり、あと一登りでピークという辺りで、時間切れとなってしまった。間近に地蔵岳のピークやオベリスクを見ながら暖かいココアを飲んで休憩し、来た道を引き返すこととした。
白い北岳
南御室小屋に戻ってくると、他のパーティはとっくに撤収済みだった。自分達もあまりゆっくりしている時間はなく、テントを撤収して下山を開始した。下山はいつも長く感じるが、この日もやはりすごく長く感じてしんどかった。夜叉神峠で、タクシーの迎車を依頼。そこから40分程で夜叉神登山口に帰着した。
余談:帰りの夜叉神峠で、男性用のヤッケがベンチの下に落ちているのを拾いました。南アルプス警察署に届けましたので、お心辺りのかたは問い合わせしてください。なお、保管期限は3ヶ月程度のようです。(色やメーカーについては敢えてこちらには掲載しません、ご了承ください)
山域:南アルプス 鳳凰三山
山行形態:縦走
2/27(土)快晴。タクシーで夜叉神登山口へ向かう。スタートして暫くは、雪が全くない樹林帯の登山道歩き。1時間ほどで夜叉神峠に到着。青空の下に、北岳・間ノ岳・農鳥岳が良く見えた。
夜叉神峠からの眺め
夜叉神峠から杖立峠までは急な登りを経て、凍りついた雪道歩き。登りだったので、アイゼンを付けずにそのまま進んだが帰りはアイゼンが必要だねなどと話す。途中で追いついた他のパーティも慎重に歩いていた。
杖立峠から上は漸く冬山らしい雪の量となる。「山火事あと」付近まで登ってきたところで、樹林の向こうに北岳が雲をかぶりはじめているのが見えた。ヤマテン情報によると、土曜日の午後は崩れるということであったが、まさに予報通り。雲が北岳から鳳凰山に到達する前に、テントを張ってしまいたい。長い登りに徐々に足の運びが重たくなってくる。が、我慢して歩いていればいつかは到着するもので、13時頃ようやく予定地の南御室小屋に到着した。と同時に青空に雲が現れてチラチラと小雪が舞い始める。トイレや水場からは少し離れた樹林の中にテントを張ることにし設営を開始。雪が少なく整地が不要だったうえ、水場はちゃんと掘り出されていて(雪に埋もれていて見つからない場合もあるらしい)、綺麗な湧き水もすぐに入手できたので、14時頃にはテントの中で寛ぎモードとなった。
午後からの風雪は夜になっても続いて、シュラフに入っても風の音が聞こえて時折目が覚めた。翌日の天気が気になるが、南御室小屋周辺は電波状況が悪く、天気予報のUPDATEはできなかった。
2/28(日)風もやんで快晴。豪華うどんを朝食にいただき、6時半に南御室小屋を出発。青空&降りたての白い雪の中を進む。気分よく、薬師岳まではあっという間に到着した。雪とザレ場のミックスの稜線も特別難しい箇所はなく、トレースもあったので、観音岳にも順調に辿りつくことができた。
観音岳から先のトレースはやや薄く判りづらいものになっていた。ルーファイで若干ペースが落ちたこともあり、あと一登りでピークという辺りで、時間切れとなってしまった。間近に地蔵岳のピークやオベリスクを見ながら暖かいココアを飲んで休憩し、来た道を引き返すこととした。
白い北岳
南御室小屋に戻ってくると、他のパーティはとっくに撤収済みだった。自分達もあまりゆっくりしている時間はなく、テントを撤収して下山を開始した。下山はいつも長く感じるが、この日もやはりすごく長く感じてしんどかった。夜叉神峠で、タクシーの迎車を依頼。そこから40分程で夜叉神登山口に帰着した。
余談:帰りの夜叉神峠で、男性用のヤッケがベンチの下に落ちているのを拾いました。南アルプス警察署に届けましたので、お心辺りのかたは問い合わせしてください。なお、保管期限は3ヶ月程度のようです。(色やメーカーについては敢えてこちらには掲載しません、ご了承ください)
山行報告書
日程:2016年2月27日-28日
山域:北アルプス 西穂高岳
山行形態:ピークハント
2月27日
9:30 ロープウェイ新穂高口出発 アイゼンをつけようとしたが、先行者がみなツボ足で出発していたのでツボ足で出発
10:15 西穂山荘到着 今回は距離が短かった為、快適なテン場生活を求めて沢山荷物を積んだせいか、思うように足が出なかった。途中休み休みしながら到着 まだ青空が覗いていた。
11:50 チェックインを行い、テン場の整地を行い一休み。休んでいる間に天気はどんどん下って行く。テン場を出る頃には降雪もみられた。
12:15 丸山
13:15 独標 ガスが出てきて、風もかなり出てきたが稜線上は、明瞭な為、ピラミッドピークを目指す事に
14:00 ピラミッドピーク着 先行者の帰着者たちもみな、ミラミッドピークからは先は、ホワイトアウトをして不明瞭との事で、ここで戻ることに。
15:30 テン場帰着 西穂山荘上部はかなり暴風雪になっており、テントもかなり揺らされる。
2月28日
5:30 起床 寝坊…
7:15 西穂山荘出発 山荘からは、小屋泊まりの客がぞろぞろと出てくる。かなりの人が稜線に取付いていて、稜線上は大賑わい 8:15 独標直下 上部でロープを出している団体が居て、直下の鎖場は大渋滞。ロープをカラビナにかけて登っているパーティが居る。 全く確保になっておらず、足を滑らしたらそのまま下に落ちる状態になっている。一体リーダーは何がしたかったのか…
また、途中に立っている人もいるが、確保など一切しないで棒立ちしている。非常に危険な状態である。独標から先は、人がガクンと減る。ガイドパーティがおり、独標からの下り、先行者がロープを出して歩いていた。ガイドは独標で、イタリアンヒッチで確保をしていた。
9:15 ピラミッドピーク直下の雪陰で1本立てる。 人も少なく、風もなく暖かな所。眼下に広がる景色を楽しむ
9:20 ピラミッドピーク着 昨日は、ホワイトアウト寸前で景色を望めなかったが、今日は西穂岳を望むことが出来る。
10:20 西穂岳山頂 頂上にいた人と写真を撮り合う。風もほとんど無く、視界も良い為、しばし歓談。奥穂側は当然トレースは無く、ガスがついており、ピークを望むことは出来なかった。
西穂山頂直下は、結構急な雪壁を上がる所が2か所あった。手前の壁は、ピッケルで上がったが、直下の壁は、折角バイルを持って行ったのだからと、ダブルアックスで登る。手と足がとてもよく決まり、快適に登ることが出来た。
11:30 ピラミッドピーク
11:50 独標
12:30 丸山
13:50 テントを撤収して下山開始
14:30 ロープウェイ駅着
<感想>
初日こそかなり悪かったが、2日目は快適に登れる事が出来た。人気のスポットだけに登山者のスタイルも色々だった。
中でも気になったのは、小屋から事前に警笛は鳴らしていたが、稜線にストックで登っている人・手には何も持たずにアイゼンだけで登っている人・空身の人・独標から先なのにヘルメットをザックの上に載せている人(さすがに人には、軽く指導はしました。)と天気が良いとは言え、とても目を疑う様な恰好をした人が居た。昨日の予報は午後は荒れるという予報だった為に、もう少し、装備を考えた方が…という気持ちで一杯だった。
さすがに、西穂から先に行こうという気は起きなかったが、いつかは行ってみたい。どうしたら行けるのだろうか…
という事も考えながらピークに立った(答えは出なかったが)
顔を少し霜焼にしてしまった。なんで霜焼になったのか、大体の原因と対策は掴めた。今後同様なケースの場合には、今回学んだ事を生かして山行を行っていきたい。
日程:2016年2月27日-28日
山域:北アルプス 西穂高岳
山行形態:ピークハント
2月27日
9:30 ロープウェイ新穂高口出発 アイゼンをつけようとしたが、先行者がみなツボ足で出発していたのでツボ足で出発
10:15 西穂山荘到着 今回は距離が短かった為、快適なテン場生活を求めて沢山荷物を積んだせいか、思うように足が出なかった。途中休み休みしながら到着 まだ青空が覗いていた。
11:50 チェックインを行い、テン場の整地を行い一休み。休んでいる間に天気はどんどん下って行く。テン場を出る頃には降雪もみられた。
12:15 丸山
13:15 独標 ガスが出てきて、風もかなり出てきたが稜線上は、明瞭な為、ピラミッドピークを目指す事に
14:00 ピラミッドピーク着 先行者の帰着者たちもみな、ミラミッドピークからは先は、ホワイトアウトをして不明瞭との事で、ここで戻ることに。
15:30 テン場帰着 西穂山荘上部はかなり暴風雪になっており、テントもかなり揺らされる。
2月28日
5:30 起床 寝坊…
7:15 西穂山荘出発 山荘からは、小屋泊まりの客がぞろぞろと出てくる。かなりの人が稜線に取付いていて、稜線上は大賑わい 8:15 独標直下 上部でロープを出している団体が居て、直下の鎖場は大渋滞。ロープをカラビナにかけて登っているパーティが居る。 全く確保になっておらず、足を滑らしたらそのまま下に落ちる状態になっている。一体リーダーは何がしたかったのか…
また、途中に立っている人もいるが、確保など一切しないで棒立ちしている。非常に危険な状態である。独標から先は、人がガクンと減る。ガイドパーティがおり、独標からの下り、先行者がロープを出して歩いていた。ガイドは独標で、イタリアンヒッチで確保をしていた。
9:15 ピラミッドピーク直下の雪陰で1本立てる。 人も少なく、風もなく暖かな所。眼下に広がる景色を楽しむ
9:20 ピラミッドピーク着 昨日は、ホワイトアウト寸前で景色を望めなかったが、今日は西穂岳を望むことが出来る。
10:20 西穂岳山頂 頂上にいた人と写真を撮り合う。風もほとんど無く、視界も良い為、しばし歓談。奥穂側は当然トレースは無く、ガスがついており、ピークを望むことは出来なかった。
西穂山頂直下は、結構急な雪壁を上がる所が2か所あった。手前の壁は、ピッケルで上がったが、直下の壁は、折角バイルを持って行ったのだからと、ダブルアックスで登る。手と足がとてもよく決まり、快適に登ることが出来た。
11:30 ピラミッドピーク
11:50 独標
12:30 丸山
13:50 テントを撤収して下山開始
14:30 ロープウェイ駅着
<感想>
初日こそかなり悪かったが、2日目は快適に登れる事が出来た。人気のスポットだけに登山者のスタイルも色々だった。
中でも気になったのは、小屋から事前に警笛は鳴らしていたが、稜線にストックで登っている人・手には何も持たずにアイゼンだけで登っている人・空身の人・独標から先なのにヘルメットをザックの上に載せている人(さすがに人には、軽く指導はしました。)と天気が良いとは言え、とても目を疑う様な恰好をした人が居た。昨日の予報は午後は荒れるという予報だった為に、もう少し、装備を考えた方が…という気持ちで一杯だった。
さすがに、西穂から先に行こうという気は起きなかったが、いつかは行ってみたい。どうしたら行けるのだろうか…
という事も考えながらピークに立った(答えは出なかったが)
顔を少し霜焼にしてしまった。なんで霜焼になったのか、大体の原因と対策は掴めた。今後同様なケースの場合には、今回学んだ事を生かして山行を行っていきたい。
日程:2016年2月20日-21日
山域:旭岳 東稜(八ヶ岳)
山行形態:雪稜バリエーション
記録:
土曜は途中から雨の予報だが、日曜はわるくはなさそうであった。出合小屋まではひとまず行ってみて、状況に応じて判断しようというのが今回の計画になった。前泊地をゆっくり出発し、美し森駐車場に着くと雪はまったくなかった。昨シーズン1月中旬の天狗尾根の時には一面雪の駐車場であったのだが、やはり今シーズンは雪が少ない。林道を抜け地獄谷へ入る。昨年天狗の帰りに堰堤の階段にぶらさがっていた鹿の屍骸は骨になって残っていた。角は切られた跡があったので誰かが持って帰ったのだろう。
渡渉を何度かして出合小屋に着くと一番乗りであった。4〜5人用テントがちょうど中で張れる。上ノ権現沢の夢幻沢大滝でアイスの予定だったが、ちょうど雪が降り始め、ひとまず翌日の偵察に向かう。上ノ権現沢に入り、レリーフのある岩をさらに左から巻くように進むと、やや傾斜の緩い尾根となり、明日はそこから上がることにする。時間もあるのでそのまま上ノ権現沢の様子を見に進み、結局最初の滝(2段10m滝かと思われる)で少し登ってみることにするが、降る雪の状態がウェアを濡らすのを嫌い、各自1本ずつ登っただけで撤収することにした。
出合小屋に戻ると2パーティが幕を張っていた。千葉から来た都岳連の3人組は天狗尾根。安曇野から来たツエルトの2人組は権現岳東稜。そこにさらに、地獄谷本谷へ行く都岳連の2人組が到着したが充分なスペースがない為、テントではなくツエルトを張る。小屋に常設された暖炉に薪をくべ火を焚いたが、MSRを持つ我々にはあまり意味がなく、またこの日は非常に暖かくシュラフに入っても寝苦しいほどであった。夜中に音もなく降っていた雪は、やがて小屋の屋根をたたく雨音に変わった。
3時に起床し支度を整えてヘッデンで出発する。昨夜の雨の影響で沢の様子は変化している。金曜日に色々な意味で有名な登山家の栗城君が旭岳東稜に登っていたようだが、おそらくはそれと思われるトレースがまだうっすらと残っておりそこも使わせて貰う。ただ新雪が降ったばかりでもあり、しっかりとラッセルが必要な箇所もあって体力を使う。やがてヘッデン不要となるが空は白いままで薄暗い樹林を抜けた。
白い靄の中に五段の宮が現れる。黒々とした固まりは表面に雪をつけて、その名の通り段々と積み重なっており、ややオドロオドロしい雰囲気を持っているように見えた。しかし、ガチャ類を装備して登攀の準備をしている時であった、権現岳の横の雲間から富士山が顔を見せ、周囲や上空にもやがて八ヶ岳ブルーの空が顔を見せ始める。上空の風は強いようで雲が走っているが、取り付き周辺はそれほど風がない。
1P:T後。1-3段目を繋いで登る。取り付いた腰の辺りに残置リングボルトがあり、まずそこで1本は取れるが、一手目から難しい。2本のバイルを岩に掛け、慎重に腰を上げるしかなく緊張する。一段目は残置ハーケンを見つけて掛けられたが足を置くスタンスもよくないので気を抜けない。二段目はやや右側から上ノ権現沢方向に体を投げ出すように登った。三段目は正面のクラックにジャムを決めて次の手を探りながら。ほぼ支点を取れずランナウトしていたので、下で見ていた二人をかなりヒヤヒヤさせたと思う。三段目のクラックはカムの2-3番あたりがあれば程よい箇所での支点になったかと思う。
2P:F屋。4・5段目-ナイフリッジ。四段目は岩の右側から主に樹木で支点を取ながらの登りとなる。5段目は正面から。そのままロープを伸ばし、両端が切れ落ちたナイフリッジを渡る。新雪が積もったばかりで、踏み所を間違えないようにと緊張する。
3P:T橋。急な雪面。ここも支点が取れるのは数少ない樹木から。乗っ越したところが安定しており木もあるが、T橋はあえてスタンディングアックスでビレイする。
4P:T後。雪面。次の岩の基部までロープを伸ばす。
5P:F屋。最後の岩壁。直上後、やや左に回り込んでから越えると安定した尾根に出る。ここでロープを外し大休憩。
頂上へ抜けると風が強い為、ロープを畳んでここで大休憩とする。T橋のオーバー手袋が風に飛ばされ、すぐそこの斜面に落ちたため懸垂で拾うという余興あり。まもなく権現岳の山頂に、出合小屋で会った安曇野の二人組が姿を見せる。我々も行動開始し山頂へ。猛烈な風であり、記念写真を撮ってすぐに下降を開始する。立場川方向(西側)からの風は冷たく強く顔を叩く。ツルネ東稜の樹林に入ったところで休憩。何故かしっかりとしたトレースが途中から残っている。ここで安曇野の二人も休憩し、我々より先行して下降を開始する。まもなくトレースを踏みながら下山を開始するが、途中でF屋がルートが違うのではと気付く。確かにツルネの下降は左手に向こうの尾根を見ながら深い谷が走っているはずだが、樹林の中を降りようとしている。分岐と思われる箇所も確認したが、GPS地図でこのまま下降してもリカバリが出来そうだということでそのまま下るが、いくつか分岐したトレースの中で左寄りの小さい沢型に入ったところで再度判断。トレースはそのまま、また右の樹林に戻っているが確実にそのトレースは間違いであるということで、沢を渡って左にトラバースする。左側の尾根と思われるあたりに赤布を発見し、ようやくツルネの下降路に戻る事が出来た。戻ってみると、これでもかという程の赤布が付いている。ツルネ下降は分岐した尾根があり間違い易い常に左寄りを意識して、平坦な樹林を下降し始めたら間違いと思った方がいいだろう。
やがて先行する二人組に追いつくが、安曇野の二人ではなく地獄谷本谷の二人であった。どうやら彼らが地獄谷からツルネにあがった際に、二度ほど下山を間違えたようであった。安曇野の二人組は熟練者のようではあったがと心配していたが、出合小屋に到着してすぐに彼らも帰着した。彼らも間違いに気付いたがそのまま下降し、途中ロープでの懸垂もあったようだが無事に降りられたとのことだった。
テントの撤収を始めていると、天狗尾根の三人組も降りてきた。赤岳の方でヘリがやたらと飛んでいたが、出合小屋の四パーティは皆ほぼ同じような時間に無事に降りてくることが出来たようだ。(余談ながら、ヘリはやはり赤岳の下山時の滑落事故の為であった。残念ながら死亡事故となっている)
核心は下山にあり。特に雪が少ないと言われている今シーズンは、例年にはないほど水が多く表面に出ており、また気温の高さと昨夜の雨がまた状態をより悪化させていた。靴を少し濡らす程度で済んだのでよかったとしよう。
2/20(土)
美し森駐車場[7:30] - 出合小屋[9:50] - 幕営 - 偵察[10:30] - 上ノ権現沢2段10m滝?[11:40] - 出合小屋[14:00]
2/21(日)
出合小屋[4:40] - 五段の宮[8:10] - ナイフリッジ[11:00] - 旭岳山頂[13:45] - ツルネ東稜下降[14:20] - ツルネ末端[16:20] - 出合小屋[16:35] - 下山開始[17:35] - 美し森駐車場[19:30]
山域:旭岳 東稜(八ヶ岳)
山行形態:雪稜バリエーション
記録:
土曜は途中から雨の予報だが、日曜はわるくはなさそうであった。出合小屋まではひとまず行ってみて、状況に応じて判断しようというのが今回の計画になった。前泊地をゆっくり出発し、美し森駐車場に着くと雪はまったくなかった。昨シーズン1月中旬の天狗尾根の時には一面雪の駐車場であったのだが、やはり今シーズンは雪が少ない。林道を抜け地獄谷へ入る。昨年天狗の帰りに堰堤の階段にぶらさがっていた鹿の屍骸は骨になって残っていた。角は切られた跡があったので誰かが持って帰ったのだろう。
渡渉を何度かして出合小屋に着くと一番乗りであった。4〜5人用テントがちょうど中で張れる。上ノ権現沢の夢幻沢大滝でアイスの予定だったが、ちょうど雪が降り始め、ひとまず翌日の偵察に向かう。上ノ権現沢に入り、レリーフのある岩をさらに左から巻くように進むと、やや傾斜の緩い尾根となり、明日はそこから上がることにする。時間もあるのでそのまま上ノ権現沢の様子を見に進み、結局最初の滝(2段10m滝かと思われる)で少し登ってみることにするが、降る雪の状態がウェアを濡らすのを嫌い、各自1本ずつ登っただけで撤収することにした。
出合小屋に戻ると2パーティが幕を張っていた。千葉から来た都岳連の3人組は天狗尾根。安曇野から来たツエルトの2人組は権現岳東稜。そこにさらに、地獄谷本谷へ行く都岳連の2人組が到着したが充分なスペースがない為、テントではなくツエルトを張る。小屋に常設された暖炉に薪をくべ火を焚いたが、MSRを持つ我々にはあまり意味がなく、またこの日は非常に暖かくシュラフに入っても寝苦しいほどであった。夜中に音もなく降っていた雪は、やがて小屋の屋根をたたく雨音に変わった。
3時に起床し支度を整えてヘッデンで出発する。昨夜の雨の影響で沢の様子は変化している。金曜日に色々な意味で有名な登山家の栗城君が旭岳東稜に登っていたようだが、おそらくはそれと思われるトレースがまだうっすらと残っておりそこも使わせて貰う。ただ新雪が降ったばかりでもあり、しっかりとラッセルが必要な箇所もあって体力を使う。やがてヘッデン不要となるが空は白いままで薄暗い樹林を抜けた。
白い靄の中に五段の宮が現れる。黒々とした固まりは表面に雪をつけて、その名の通り段々と積み重なっており、ややオドロオドロしい雰囲気を持っているように見えた。しかし、ガチャ類を装備して登攀の準備をしている時であった、権現岳の横の雲間から富士山が顔を見せ、周囲や上空にもやがて八ヶ岳ブルーの空が顔を見せ始める。上空の風は強いようで雲が走っているが、取り付き周辺はそれほど風がない。
1P:T後。1-3段目を繋いで登る。取り付いた腰の辺りに残置リングボルトがあり、まずそこで1本は取れるが、一手目から難しい。2本のバイルを岩に掛け、慎重に腰を上げるしかなく緊張する。一段目は残置ハーケンを見つけて掛けられたが足を置くスタンスもよくないので気を抜けない。二段目はやや右側から上ノ権現沢方向に体を投げ出すように登った。三段目は正面のクラックにジャムを決めて次の手を探りながら。ほぼ支点を取れずランナウトしていたので、下で見ていた二人をかなりヒヤヒヤさせたと思う。三段目のクラックはカムの2-3番あたりがあれば程よい箇所での支点になったかと思う。
2P:F屋。4・5段目-ナイフリッジ。四段目は岩の右側から主に樹木で支点を取ながらの登りとなる。5段目は正面から。そのままロープを伸ばし、両端が切れ落ちたナイフリッジを渡る。新雪が積もったばかりで、踏み所を間違えないようにと緊張する。
3P:T橋。急な雪面。ここも支点が取れるのは数少ない樹木から。乗っ越したところが安定しており木もあるが、T橋はあえてスタンディングアックスでビレイする。
4P:T後。雪面。次の岩の基部までロープを伸ばす。
5P:F屋。最後の岩壁。直上後、やや左に回り込んでから越えると安定した尾根に出る。ここでロープを外し大休憩。
頂上へ抜けると風が強い為、ロープを畳んでここで大休憩とする。T橋のオーバー手袋が風に飛ばされ、すぐそこの斜面に落ちたため懸垂で拾うという余興あり。まもなく権現岳の山頂に、出合小屋で会った安曇野の二人組が姿を見せる。我々も行動開始し山頂へ。猛烈な風であり、記念写真を撮ってすぐに下降を開始する。立場川方向(西側)からの風は冷たく強く顔を叩く。ツルネ東稜の樹林に入ったところで休憩。何故かしっかりとしたトレースが途中から残っている。ここで安曇野の二人も休憩し、我々より先行して下降を開始する。まもなくトレースを踏みながら下山を開始するが、途中でF屋がルートが違うのではと気付く。確かにツルネの下降は左手に向こうの尾根を見ながら深い谷が走っているはずだが、樹林の中を降りようとしている。分岐と思われる箇所も確認したが、GPS地図でこのまま下降してもリカバリが出来そうだということでそのまま下るが、いくつか分岐したトレースの中で左寄りの小さい沢型に入ったところで再度判断。トレースはそのまま、また右の樹林に戻っているが確実にそのトレースは間違いであるということで、沢を渡って左にトラバースする。左側の尾根と思われるあたりに赤布を発見し、ようやくツルネの下降路に戻る事が出来た。戻ってみると、これでもかという程の赤布が付いている。ツルネ下降は分岐した尾根があり間違い易い常に左寄りを意識して、平坦な樹林を下降し始めたら間違いと思った方がいいだろう。
やがて先行する二人組に追いつくが、安曇野の二人ではなく地獄谷本谷の二人であった。どうやら彼らが地獄谷からツルネにあがった際に、二度ほど下山を間違えたようであった。安曇野の二人組は熟練者のようではあったがと心配していたが、出合小屋に到着してすぐに彼らも帰着した。彼らも間違いに気付いたがそのまま下降し、途中ロープでの懸垂もあったようだが無事に降りられたとのことだった。
テントの撤収を始めていると、天狗尾根の三人組も降りてきた。赤岳の方でヘリがやたらと飛んでいたが、出合小屋の四パーティは皆ほぼ同じような時間に無事に降りてくることが出来たようだ。(余談ながら、ヘリはやはり赤岳の下山時の滑落事故の為であった。残念ながら死亡事故となっている)
核心は下山にあり。特に雪が少ないと言われている今シーズンは、例年にはないほど水が多く表面に出ており、また気温の高さと昨夜の雨がまた状態をより悪化させていた。靴を少し濡らす程度で済んだのでよかったとしよう。
2/20(土)
美し森駐車場[7:30] - 出合小屋[9:50] - 幕営 - 偵察[10:30] - 上ノ権現沢2段10m滝?[11:40] - 出合小屋[14:00]
2/21(日)
出合小屋[4:40] - 五段の宮[8:10] - ナイフリッジ[11:00] - 旭岳山頂[13:45] - ツルネ東稜下降[14:20] - ツルネ末端[16:20] - 出合小屋[16:35] - 下山開始[17:35] - 美し森駐車場[19:30]
2012年2月12日〜13日 メンバー羽生田・古屋
まだまだ早いと思っていた大谷不動でしたが、はにまる先輩の悪魔の囁きにより不動参りへ。
気温上昇春一番でテントも間一髪
屋根の雪が全層雪崩れる
帰りに前不動も偵察
まだまだ早いと思っていた大谷不動でしたが、はにまる先輩の悪魔の囁きにより不動参りへ。
気温上昇春一番でテントも間一髪
屋根の雪が全層雪崩れる
帰りに前不動も偵察