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北ア 五竜、唐松 トレッキング
メンバー: 清水(記録)、他3名
大阪の住人で学生時代の友人がこの夏、北アルプスのトレッキングをするのだが、一緒にいかが、といってきたので懐かしい顔を見にでかけた。
大糸線は神城駅に金曜の早朝降り立ち、久しぶりの、また老けた顔を見合わせて喜ぶ。始発のテレキャビンで遠見尾根におりたつ。梅雨の名残の雨を心配していたけどすばらしいトレッキング日和、“夏山JOY” の雰囲気で地蔵の頭を過ぎ、小遠見、中遠見くらいまではまだ花を愛でての夏山JOYだった。ところが大遠見のあたりで、古き友人の下半身がへたりだした。この古き良き友人のからだは長い年月の間に次第に球形を基本とした体型に変化していたのだ。驚いたことに、汗だくの彼が首に巻いたタオルをしぼるとジャーと音をたてて汗が流れ落ちるのだ。うそのようなほんとのはなしである。おまけにこんどはその巨体に負けて靴までへたってしまった。ピーンチである。西遠見池のほとりまでなんとかたどり着いたが、そこでとうとう、“清水よ、わしゃもうあかん”とかなんとか関西弁でわめきながらのびてしまった。あかんといわれても困るけど、まあ、ここまで来れば行くしかないし、幸い天気は良すぎるほどいいし、とりあえず池のほとりで大休止ということにする。うまいことに腰痛対策用の湿布薬をもっていたので彼のひざにべたべたと貼り付け、これもなにかの足しになるかとザックにいれていた長めのテープスリングを一本犠牲にして、へたった靴をガムテープとともにぐるぐる巻きにして補修する。これでなんとかなるでしょう。それにしてもここから見上げる五竜、鹿島槍は見ごたえがある。カクネ里だろうか、深い谷にはまだ、雪がべったりついている。そんなことでけっこう時間がたってしまったがその後は、まもなく森林限界を越えたので風通しもよくなり、景色もひろがったせいか古き良き友人も気分をもちなおし、がんばって3時には五竜小屋で金700円なりのビールをあおることができた。
翌日、きのうに増して完璧な夏山日和。五竜のどっしりした山体に張り付く雪渓が輝いている。実は本来の計画は、五竜を越えて鹿島槍、爺、扇沢というものだったのだが、あのへたった靴でキレットを越えるのはぞっとしない。五竜はピストンだけにして唐松へ転進して1日早く下山、ということにした。古き良き友人は小屋の前のベンチで他の登山者のひとたちとの交流を図ってもらい、残りの3人でそそくさと五竜の頂上を踏んできた。五竜はいい山だった。唐松への径ほとんど稜線漫歩、いい山旅である。昼ごろ唐松山荘に到着、八方尾根からのハイカーで大変な賑わいになっている。見ると大きなプラ容器で生ビールを飲んでいる者がいる。これからまだ、八方を降るのだけれど強烈な日差しと、強烈な琥珀色の誘惑に負けて1杯800円をいただいてしまった。強烈なおいしさだった。いい気分で八方尾根を降り終わるころ、2日続いた晴天もようやく終わり、ゴンドラに乗り込むと同時に雷雲が空を覆い、ぱらぱらと降り出しはじめた。その夜、予約を1日早めた民宿で酒とビールをあおってはしゃいでいるころ、外はすさまじい雷鳴とどしゃ降りの夕立になっていた。1日早めて結果オーライだったのである。あとで知ったが爺のあたりで落雷のため死者がでたそうだ。 五竜を背景に。