-
日程:2009年8月7日(金)?11日(火)
山域:北海道 忠別川支流クワウンナイ川遡行、大雪山縦走
山行形態:沢登り、縦走
メンバー及び役割:CL/門脇、SL装備/木村、食当?/大浦、食当?/西村、食当?記録/平川
記録:
計画倒れに終わった昨年の教訓を生かし、今年は早々と木村さんが準備を進めてくれたおかげで、2年越しのクワウンナイ川は大成功に終わった。メンバーとしても思い付きで行けるような山岳ではなく、周到な準備と事前調査が成功に結びついた結果と言える。7月に起こった稜線での不幸な事故や、過去には増水による事故が多発している事から、一応入渓には慎重な判断が必要とされていた。しかし入渓の数日前から当面の間は降雨の心配は無さそうで、撤退の多いこの沢を初見で遡行出来るという幸運に恵まれた。(実際にメンバーの大浦さんは過去に3度撤退しているとの事であった) また、沢のついでに・・と言うには余りにボリュームが有りすぎる縦走も、中々本州の山岳では味わえない、価値のある山行になった。(MSC会員暦の長い西村さんにして、入会してこんなに歩いたのは初めて…とのことであった)
7日(金)の早朝6時20分にはメンバー4名が羽田に集合した。大浦さんは一足先に現地入りしており、ガソリンなどの調達を済ませて入渓点の天人峡で待ち合わせている。木村さんは門脇工場に前泊し、門脇さんを空港に連れてくるという大役を担っている。西村さんは新調したザックで登場して嬉しそう。大きなザックを見ながら自分も嵩張るシュラフを迷わず新調してくれば良かったと思っていた。お盆の休みがスタートしたばかりの空港はかなり混雑している。荷物を預ける際にふと、カプサイシンスプレーがザックに入っていることを喋ってしまい、廃棄せざるを得なくなったのは痛かった。
7:40発のADO旭川行きは、ほぼ定刻の9:30旭川に到着。思っていたより気温が高いが、さすがに北海道はからりとして気持ちがいい。私自身は夏風邪上がりで完全な体調では無かったが、この気候で一気にテンションが上がった。
予約のタクシーで天人峡へ向かう。途中のスーパーで買い物もする。長閑な風景の道は蕎麦の花が綺麗だ。入渓点には10:40着。大浦さんともここで合流してメンバー5名が顔をそろえた。タクシーに不要な荷物を下山後に泊まる宿舎にデポしてもらえるよう頼んで11:20、念願のクワウンナイに入渓となった。(タクシー代は諸々で1万円)
はっきりとした踏跡を10分ほど歩き、ポンクワウンナイ川の出合いから沢の中を歩く。心配していた水量はかなり少ないと思われる。(全体を通して膝上から足の付け根位の渡渉が多く、腰まで浸かる所はわずか)門脇さん先頭で、ここからは5?10m位の川幅を何度となく渡渉を繰り返して遡行する。水量は少ないとはいえ、重い荷を背負っての渡渉はやはり緊張させられたが、沢慣れしているメンバー中心で渡渉はスムーズだ。適度な水温も照りつける日差しに丁度良い。
地形図上にも見られるインゼルが多い渓相は、両側の地形も合わせて観察しておかないと、二俣と勘違いしそうになる。いくら歩いても高度の上がらない河原を歩き、16:30に1日目の遡行を終了した。ここまでに出会ったパーティーは我々の他に2組。そのうち1組はガイド山行のようにも見られた。初日の幕場は予定していたカウン沢出合いまでは1時間ほど手前と思われるインゼル地形の中洲で薪も多く快適な幕場だ。ここで木村/平川がオショロコマを狙って竿を出す。餌はブドウ虫を用意してきた。(川虫も豊富なので餌の持参は不要であった)その1投目でそれぞれ1匹ずつGETした。それからはほぼ入れ食い状態。型はかなり小さいので大きめの物以外はリリースする。岩魚は難しい魚ではないが、オショロコマはヤマメ系の魚なので釣るのは難しいと思っていただけに拍子抜けした。5mの竿を新調してきた木村さんは暫くの間、自称『渓流釣りの天才』を豪語するだろう。焚き火でじっくり焼いたオショロコマと大浦さんが用意したジンギスカンは最高の沢飯であった。熊よけの爆竹を鳴らして早々と就寝。
2日目も快晴。ちょっと遅めの7:00に幕場を後にした。8:10にカウン沢出合いに到着。この出合いに泊まるパーティーは多いようだ。この出合いから45分ほど遡行した所に魚留めの滝がある。今回の沢で初めての滝らしい滝で、幅広の大きな釜を持つ見ごたえのある滝である。これを左岸から巻き上がるといよいよ現れるのが滝の瀬13丁と呼ばれるクワウンナイのポイントだ。これは全く見事なナメだった。水量豊かな20m位の沢幅いっぱいのナメが延々2kmも続くのだ。『やはり北海道の谷は日本の渓ではないな』と思った。ウオータースライダーなど遊びながら遡行し、ハングの滝が現れた所で巨大なナメは終了する。巻き道は右岸の泥壁を登り、5m位の残置ロープをごぼうで強引に超える。
次の二俣は両門の滝になっており中々のビューポイント。左俣の本流を詰めると奥の二俣で崩壊した雪渓が現れた。今回は雪渓処理も想定していたが、結果的に雪渓が残っていたのはここだけであった。ここまで来ると沢はやっと源頭の様相になってきた。沢を忠実に詰めるとやがて水は枯れ沼地が現れだす。この沼の脇で幕を張り、昼寝をしているパーティーがいた。何とも羨ましい光景。真似したい衝動を抑えながら最後の露岩帯を登る。
周囲でナキウサギが鳴き、いよいよ稜線が近い事を物語る。その稜線には14:50にぽっかりと出てしまった。天候にも恵まれ、実に良い沢旅が出来たものだった。ここまで持ってきた2本のロープを始め、ガチャは結局使うことがなかった。大休止して予定のひさご沼は明日の予定の効率を考え、トムラウシ北沼のテン場に変更した。最後のひと登りをして北沼には15:40着。ここの雰囲気もまた素晴しい。静かな沼のほとりに我々の幕が二張りのみ。煮沸は必須だが水の確保も困らない。(沢の水で少々腹痛はあったが・・。)ただ、テントを張り終えて気が付いたのは、先の遭難事故で犠牲者の一人が正にこの場所で倒れたことを物語る線香が足元に有ったことだ。確かに全体を通してこの稜線上は風雨にあったら目標を失い、吹きさらしの中でかなり厳しい状況になるだろう。追悼の意を表し合掌。
テント内で西村さん食当のカレーうどんを食べている時、突然キタキツネが現れて食材を入れた袋を咥えて走り出した。あわてて威嚇した所で、食材を放棄して逃げて行ったが全く油断もすきもない。沢と違って焚き火はないが北海道は稜線のテン場もそれなりに楽しい。酒も明日の分を僅かに残して就寝。
8/9は朝4:30起床。北海道の朝は早い。カレー味のマルタイを食べ、6:00に荷物をデポしてトムラウシに登った。30分ほどで山頂に着く。もちろん今日も快晴で遮るものの無い360度の景観は誠に素晴しい。
ここで十勝に向かう大浦さんと別れ、残りの4名はザックを回収してここからは後半戦の大雪連峰を縦走することになる。(計画通りの縦走は内心嫌だなと思っていたが、トムラウシから見る計画末端の旭岳を見て気持ちが変わった)幕場に戻って8:00にスタートした。途中のひさご沼は稜線からかなり下った所に見えた。雰囲気は良さそうだが登り返しを考えるとひさご沼はパスして正解。
化雲岳には10:15着。直接下山する道のある最後の分岐点である。ここを過ぎたら旭岳まで下山は出来ない。門脇さんが足を故障しているので様子を見たが、『何とかなりそう』との事。今日は行ける所まで行ってビバークすることにした。次のピークである五色岳まではトラバース気味にハイマツの中を行くが、ヒグマのフンが随所に見られた。この稜線は登山道を覆うハイマツの中を歩く箇所が非常に多く、これが何とも歩き難い。引っかかったり跳ね返されたり体力を消耗させられる。
五色岳を12:00に通過し、忠別岳には14:00に着いた。距離的にはトムラウシと旭岳までの中間点僅か手前のようで、どちらも彼方に見える。忠別岳では多くの登山者が休んでいたが、ヘルメットとロープの括り付けられた我々のザックを見て『クワウンナイですか?』と羨望のまなざしで見られる。『いつかは行ってみたい』、『羨ましい』と山行中、何度となく声を掛けられた。
本日予定していた白雲岳の幕場までは時間的に無理と考え、1時間の距離にある忠別沼に適地がある事を期待する。その忠別沼は15:00着。先行した木村さんが木道脇の適地にザックを置いて休んでいるのが後方から見えた。着いてみればここもまた素晴しい所。少々クマの出没を警戒しなければならない所だが、それを除けばこんなに素晴しい所は無い。
小休止して幕営準備に取り掛かる。暗くなりかけて食事をしていると、外から熊よけの鈴の音がする。この時間にこの場所で登山者か?と外を見るとジーパンにスニーカーの青年が足早に歩いてくる。背中には小さなデイパックと肩からはトートバックなど持っており、明らかに場違いな装備で夕闇の中をこの先2時間は掛かると思われる次の避難小屋までの行程が案じられた。食事を終えると他にすることも無い。エゾ鹿の鳴き声を聞きながら19:00には寝てしまった。
8/10、最終日。今日で山を降りてしまうという名残惜しさと、温泉でさっぱりしてビールが飲めるという楽しみが交錯した複雑な目覚めだった。もちろん今日も快晴。4日間、本当に天気には恵まれた。今日の行程は最終日にして、これまでで一番長い10時間行動になる。簡単に朝食を済ませて6:00に行動を開始した。ひと山乗越すと高根ヶ原という平坦な地形になり、高山植物が咲き乱れる素晴しい所になる。
緩やかな登りに差し掛かると白雲岳避難小屋が見え始める。その小屋には9:00に到着した。雪渓から流れ出す水場の水は冷たくて最高だった。忠別沼で汲んだ黄色く濁った水と入れ替えることにする。小屋からは僅かな登りで稜線の分岐に出ることが出来る。雪渓を歩いて一度鞍部に降り、登り返した所が北海岳。時刻は11:20。御鉢平を挟んで黒岳が立派に見えた。あと1泊して目の前のお鉢廻りをしたら完璧な縦走になるなと思った。
間宮岳には12:30に到着。ここを下ればあとは旭岳を残すだけだ。その旭岳は最後にして最悪であった。登りは滑り落ちそうなザレた急登で短い時間だが嫌な所だ。山頂には14:10着。最後の最後にしてガスで展望が無く、はるか彼方になった筈のトムラウシが眺められず、これが心残りになった。
下りは傾斜は緩いものの登り同様にザレた火山性の道でとても歩き難い。門脇さんはここまで通しで沢靴を履いており、フラットの底では最悪の条件だったようだ。
ロープウエイの姿見駅には16:00着。長かった山旅もようやく終わった。先ずは地ビールで4日間の山行に乾杯!これが最高に美味かった。それもその筈、連日9時間以上の行動を晴天の中でしてきたのだから…(まあ、これは相当贅沢なことではある)
今日の宿、『ヌタプカウシペ』はロープウエイから500mにある雰囲気の良いロッジだ。到着して先ずは温泉、そして西村さんが帳場からビールを持って来てくれた。栓を抜くのもまだるっこく一気にビールを流し込む。全身の全細胞に染み渡る美味さだった。山に入っている時間が長かったため、世間では地震、台風、ノリピー逮捕と随分状況が変わっていたが、隔世の中でのん気に遊ぶのも中々楽しい。美味い食事と、さんざんビールを飲んで気持ち良い眠りについた。
8/11。今日はいよいよ帰京する日。西日本は大雨で大変だというのに北海道は相変わらず快晴。名残惜しくて台風で飛行機が飛ばなければ良いのに・・などと本気で考えたりした。12:50の飛行機までの時間を有効に過ごそうと、旭山動物園に行くことにした。時間は僅かであったが話題のスポットにも立ち寄れ、お土産も買い込んで、楽しい想い出に花を添えることが出来た。また最後は北海道らしいモノを食おう!ということで地元の人気店でジンギスカンを食べ、お土産に地元の民が愛用するジンギスカン鍋もめいめいで購入した。
このようにして、『やれる事はすべてやりました山行』 は大成功に終わり、この記録を書いている2週間後もまだ余韻に浸っている状態だ。あのトムラウシから見た幾つかの山々に登る機会を是非また作り、再訪したいと考えている。
羽田には14:50着、木村/平川はちょっとのつもりで工場に寄ったが、タッチの差で帰宅遭難に陥る所であった。
山域:北海道 忠別川支流クワウンナイ川遡行、大雪山縦走
山行形態:沢登り、縦走
メンバー及び役割:CL/門脇、SL装備/木村、食当?/大浦、食当?/西村、食当?記録/平川
記録:
計画倒れに終わった昨年の教訓を生かし、今年は早々と木村さんが準備を進めてくれたおかげで、2年越しのクワウンナイ川は大成功に終わった。メンバーとしても思い付きで行けるような山岳ではなく、周到な準備と事前調査が成功に結びついた結果と言える。7月に起こった稜線での不幸な事故や、過去には増水による事故が多発している事から、一応入渓には慎重な判断が必要とされていた。しかし入渓の数日前から当面の間は降雨の心配は無さそうで、撤退の多いこの沢を初見で遡行出来るという幸運に恵まれた。(実際にメンバーの大浦さんは過去に3度撤退しているとの事であった) また、沢のついでに・・と言うには余りにボリュームが有りすぎる縦走も、中々本州の山岳では味わえない、価値のある山行になった。(MSC会員暦の長い西村さんにして、入会してこんなに歩いたのは初めて…とのことであった)
7日(金)の早朝6時20分にはメンバー4名が羽田に集合した。大浦さんは一足先に現地入りしており、ガソリンなどの調達を済ませて入渓点の天人峡で待ち合わせている。木村さんは門脇工場に前泊し、門脇さんを空港に連れてくるという大役を担っている。西村さんは新調したザックで登場して嬉しそう。大きなザックを見ながら自分も嵩張るシュラフを迷わず新調してくれば良かったと思っていた。お盆の休みがスタートしたばかりの空港はかなり混雑している。荷物を預ける際にふと、カプサイシンスプレーがザックに入っていることを喋ってしまい、廃棄せざるを得なくなったのは痛かった。
7:40発のADO旭川行きは、ほぼ定刻の9:30旭川に到着。思っていたより気温が高いが、さすがに北海道はからりとして気持ちがいい。私自身は夏風邪上がりで完全な体調では無かったが、この気候で一気にテンションが上がった。
予約のタクシーで天人峡へ向かう。途中のスーパーで買い物もする。長閑な風景の道は蕎麦の花が綺麗だ。入渓点には10:40着。大浦さんともここで合流してメンバー5名が顔をそろえた。タクシーに不要な荷物を下山後に泊まる宿舎にデポしてもらえるよう頼んで11:20、念願のクワウンナイに入渓となった。(タクシー代は諸々で1万円)
はっきりとした踏跡を10分ほど歩き、ポンクワウンナイ川の出合いから沢の中を歩く。心配していた水量はかなり少ないと思われる。(全体を通して膝上から足の付け根位の渡渉が多く、腰まで浸かる所はわずか)門脇さん先頭で、ここからは5?10m位の川幅を何度となく渡渉を繰り返して遡行する。水量は少ないとはいえ、重い荷を背負っての渡渉はやはり緊張させられたが、沢慣れしているメンバー中心で渡渉はスムーズだ。適度な水温も照りつける日差しに丁度良い。
地形図上にも見られるインゼルが多い渓相は、両側の地形も合わせて観察しておかないと、二俣と勘違いしそうになる。いくら歩いても高度の上がらない河原を歩き、16:30に1日目の遡行を終了した。ここまでに出会ったパーティーは我々の他に2組。そのうち1組はガイド山行のようにも見られた。初日の幕場は予定していたカウン沢出合いまでは1時間ほど手前と思われるインゼル地形の中洲で薪も多く快適な幕場だ。ここで木村/平川がオショロコマを狙って竿を出す。餌はブドウ虫を用意してきた。(川虫も豊富なので餌の持参は不要であった)その1投目でそれぞれ1匹ずつGETした。それからはほぼ入れ食い状態。型はかなり小さいので大きめの物以外はリリースする。岩魚は難しい魚ではないが、オショロコマはヤマメ系の魚なので釣るのは難しいと思っていただけに拍子抜けした。5mの竿を新調してきた木村さんは暫くの間、自称『渓流釣りの天才』を豪語するだろう。焚き火でじっくり焼いたオショロコマと大浦さんが用意したジンギスカンは最高の沢飯であった。熊よけの爆竹を鳴らして早々と就寝。
2日目も快晴。ちょっと遅めの7:00に幕場を後にした。8:10にカウン沢出合いに到着。この出合いに泊まるパーティーは多いようだ。この出合いから45分ほど遡行した所に魚留めの滝がある。今回の沢で初めての滝らしい滝で、幅広の大きな釜を持つ見ごたえのある滝である。これを左岸から巻き上がるといよいよ現れるのが滝の瀬13丁と呼ばれるクワウンナイのポイントだ。これは全く見事なナメだった。水量豊かな20m位の沢幅いっぱいのナメが延々2kmも続くのだ。『やはり北海道の谷は日本の渓ではないな』と思った。ウオータースライダーなど遊びながら遡行し、ハングの滝が現れた所で巨大なナメは終了する。巻き道は右岸の泥壁を登り、5m位の残置ロープをごぼうで強引に超える。
次の二俣は両門の滝になっており中々のビューポイント。左俣の本流を詰めると奥の二俣で崩壊した雪渓が現れた。今回は雪渓処理も想定していたが、結果的に雪渓が残っていたのはここだけであった。ここまで来ると沢はやっと源頭の様相になってきた。沢を忠実に詰めるとやがて水は枯れ沼地が現れだす。この沼の脇で幕を張り、昼寝をしているパーティーがいた。何とも羨ましい光景。真似したい衝動を抑えながら最後の露岩帯を登る。
周囲でナキウサギが鳴き、いよいよ稜線が近い事を物語る。その稜線には14:50にぽっかりと出てしまった。天候にも恵まれ、実に良い沢旅が出来たものだった。ここまで持ってきた2本のロープを始め、ガチャは結局使うことがなかった。大休止して予定のひさご沼は明日の予定の効率を考え、トムラウシ北沼のテン場に変更した。最後のひと登りをして北沼には15:40着。ここの雰囲気もまた素晴しい。静かな沼のほとりに我々の幕が二張りのみ。煮沸は必須だが水の確保も困らない。(沢の水で少々腹痛はあったが・・。)ただ、テントを張り終えて気が付いたのは、先の遭難事故で犠牲者の一人が正にこの場所で倒れたことを物語る線香が足元に有ったことだ。確かに全体を通してこの稜線上は風雨にあったら目標を失い、吹きさらしの中でかなり厳しい状況になるだろう。追悼の意を表し合掌。
テント内で西村さん食当のカレーうどんを食べている時、突然キタキツネが現れて食材を入れた袋を咥えて走り出した。あわてて威嚇した所で、食材を放棄して逃げて行ったが全く油断もすきもない。沢と違って焚き火はないが北海道は稜線のテン場もそれなりに楽しい。酒も明日の分を僅かに残して就寝。
8/9は朝4:30起床。北海道の朝は早い。カレー味のマルタイを食べ、6:00に荷物をデポしてトムラウシに登った。30分ほどで山頂に着く。もちろん今日も快晴で遮るものの無い360度の景観は誠に素晴しい。
ここで十勝に向かう大浦さんと別れ、残りの4名はザックを回収してここからは後半戦の大雪連峰を縦走することになる。(計画通りの縦走は内心嫌だなと思っていたが、トムラウシから見る計画末端の旭岳を見て気持ちが変わった)幕場に戻って8:00にスタートした。途中のひさご沼は稜線からかなり下った所に見えた。雰囲気は良さそうだが登り返しを考えるとひさご沼はパスして正解。
化雲岳には10:15着。直接下山する道のある最後の分岐点である。ここを過ぎたら旭岳まで下山は出来ない。門脇さんが足を故障しているので様子を見たが、『何とかなりそう』との事。今日は行ける所まで行ってビバークすることにした。次のピークである五色岳まではトラバース気味にハイマツの中を行くが、ヒグマのフンが随所に見られた。この稜線は登山道を覆うハイマツの中を歩く箇所が非常に多く、これが何とも歩き難い。引っかかったり跳ね返されたり体力を消耗させられる。
五色岳を12:00に通過し、忠別岳には14:00に着いた。距離的にはトムラウシと旭岳までの中間点僅か手前のようで、どちらも彼方に見える。忠別岳では多くの登山者が休んでいたが、ヘルメットとロープの括り付けられた我々のザックを見て『クワウンナイですか?』と羨望のまなざしで見られる。『いつかは行ってみたい』、『羨ましい』と山行中、何度となく声を掛けられた。
本日予定していた白雲岳の幕場までは時間的に無理と考え、1時間の距離にある忠別沼に適地がある事を期待する。その忠別沼は15:00着。先行した木村さんが木道脇の適地にザックを置いて休んでいるのが後方から見えた。着いてみればここもまた素晴しい所。少々クマの出没を警戒しなければならない所だが、それを除けばこんなに素晴しい所は無い。
小休止して幕営準備に取り掛かる。暗くなりかけて食事をしていると、外から熊よけの鈴の音がする。この時間にこの場所で登山者か?と外を見るとジーパンにスニーカーの青年が足早に歩いてくる。背中には小さなデイパックと肩からはトートバックなど持っており、明らかに場違いな装備で夕闇の中をこの先2時間は掛かると思われる次の避難小屋までの行程が案じられた。食事を終えると他にすることも無い。エゾ鹿の鳴き声を聞きながら19:00には寝てしまった。
8/10、最終日。今日で山を降りてしまうという名残惜しさと、温泉でさっぱりしてビールが飲めるという楽しみが交錯した複雑な目覚めだった。もちろん今日も快晴。4日間、本当に天気には恵まれた。今日の行程は最終日にして、これまでで一番長い10時間行動になる。簡単に朝食を済ませて6:00に行動を開始した。ひと山乗越すと高根ヶ原という平坦な地形になり、高山植物が咲き乱れる素晴しい所になる。
緩やかな登りに差し掛かると白雲岳避難小屋が見え始める。その小屋には9:00に到着した。雪渓から流れ出す水場の水は冷たくて最高だった。忠別沼で汲んだ黄色く濁った水と入れ替えることにする。小屋からは僅かな登りで稜線の分岐に出ることが出来る。雪渓を歩いて一度鞍部に降り、登り返した所が北海岳。時刻は11:20。御鉢平を挟んで黒岳が立派に見えた。あと1泊して目の前のお鉢廻りをしたら完璧な縦走になるなと思った。
間宮岳には12:30に到着。ここを下ればあとは旭岳を残すだけだ。その旭岳は最後にして最悪であった。登りは滑り落ちそうなザレた急登で短い時間だが嫌な所だ。山頂には14:10着。最後の最後にしてガスで展望が無く、はるか彼方になった筈のトムラウシが眺められず、これが心残りになった。
下りは傾斜は緩いものの登り同様にザレた火山性の道でとても歩き難い。門脇さんはここまで通しで沢靴を履いており、フラットの底では最悪の条件だったようだ。
ロープウエイの姿見駅には16:00着。長かった山旅もようやく終わった。先ずは地ビールで4日間の山行に乾杯!これが最高に美味かった。それもその筈、連日9時間以上の行動を晴天の中でしてきたのだから…(まあ、これは相当贅沢なことではある)
今日の宿、『ヌタプカウシペ』はロープウエイから500mにある雰囲気の良いロッジだ。到着して先ずは温泉、そして西村さんが帳場からビールを持って来てくれた。栓を抜くのもまだるっこく一気にビールを流し込む。全身の全細胞に染み渡る美味さだった。山に入っている時間が長かったため、世間では地震、台風、ノリピー逮捕と随分状況が変わっていたが、隔世の中でのん気に遊ぶのも中々楽しい。美味い食事と、さんざんビールを飲んで気持ち良い眠りについた。
8/11。今日はいよいよ帰京する日。西日本は大雨で大変だというのに北海道は相変わらず快晴。名残惜しくて台風で飛行機が飛ばなければ良いのに・・などと本気で考えたりした。12:50の飛行機までの時間を有効に過ごそうと、旭山動物園に行くことにした。時間は僅かであったが話題のスポットにも立ち寄れ、お土産も買い込んで、楽しい想い出に花を添えることが出来た。また最後は北海道らしいモノを食おう!ということで地元の人気店でジンギスカンを食べ、お土産に地元の民が愛用するジンギスカン鍋もめいめいで購入した。
このようにして、『やれる事はすべてやりました山行』 は大成功に終わり、この記録を書いている2週間後もまだ余韻に浸っている状態だ。あのトムラウシから見た幾つかの山々に登る機会を是非また作り、再訪したいと考えている。
羽田には14:50着、木村/平川はちょっとのつもりで工場に寄ったが、タッチの差で帰宅遭難に陥る所であった。
日程:2009年8月7日(金)?8日(土)
山域:谷川山域/魚野川支流荒沢本谷
山行形態:訓練山行 沢登り
メンバー及び役割:須藤(CL)、山本(SL)、羽生田(装備)、戸田、白川(記録)
記録:
7日21:00荻窪駅北口集合。商店街、住宅地の狭い道路を右折、左折してあっという間に谷原。須藤さんは裏道に精通している。そして関越高速道路を経て23:30にはJR中里駅に到着していた。1年前には名前も知らなかったのに、すっかりなじみの駅になっている。入山祝い、明日の沢について語り合う。
8日は5:50起床。朝食、身支度をして荒沢山ふもとのロッジ前の駐車スペースに車をデポする。7:00出発、魚野川沿いの林道を進んだ。途中川で釣りをしている人がいた。荒沢出合に7:30に到着して、橋の袂から右岸に降りる。狭くて水量も少ない。この奥に遡行図に描かれているような広がりのある沢が続いているとは想像も出来ないほど貧弱な入渓点で、本当にここでいいのか半信半疑であった。
最初の『ナメ滝3m』は左側を上がった。岩はヌメヌメしていてずるずる滑る。釜のへつりも水中の岩の方が滑りにくかった。その後は釜、小滝、ナメの連続。ヌメリでテカテカ光る岩もあってぞっとする。黒くて小さい堰堤を越して、次はチョックストーンの滝。落ち口の右横に表面がヌルヌルした流木が立てかかっていた。須藤さんはこの木を上がり、後の4人はそれより少しは滑りにくそうな流れの左側を登った。
倒木を登る須藤さん
8:10大きなチョックストーンの滝に出た。須藤さんが大岩右手の直登を試みるが、茶色の岩がとにかく滑り、ランニングビレイを取れるような場所もないとのこと。数メートル戻って、右の岩壁を巻くことになった。羽生田さんがハーケンを打ってビレイ、須藤さんがリードで行く。途中一箇所で、ハーケンを打ってランニングビレイを取り、8:30に突破。私たちはタイブロックで通過した。ここの岩は日が当たっていたせいか、思ったほどには滑らなかった。ハーケンを回収しながら羽生田さんが上がってきたのが9:00。滝1つ越すにも結構時間がかかる。
リードで登る須藤さん
2番手戸田さん
目の前には、またチョックストーンの滝、大岩4mである。落ち口の大岩がハングっている。須藤さんはそのすぐ右を登った。背が高いと1歩が大きく有利だ。後の4人は左から上がった。登り方は五人五様だ。上がって休憩10分。また次のチョックストーンに取りかかる。釜が意外と深い。よく見ると釜の出口を流木がふさいでいた。そのことに気がついた山本さん、羽生田さんが枝々を掻き出すと水が引き、隠れていた石が姿を見せた。上がった所が二俣、左を行くとさらに二俣、その右が『前の大滝25m』だ。9:40に到着。
ここでは戸田さんがビレイ、釜の左をへつって須藤さんがリードでいく。
一段目の滝の落ち口に小さな釜、その右壁にランニングビレイを取って、さらに2段目の滝を上がった所、50mロープいっぱいの所で須藤さんが支点を取ったが、様子をみていた山本さんがロープが屈曲しすぎているから・・・とフリーで登り、釜の所に立ってロープが流れるように中継してくれた。始めにタイブロックで上がった私が、2段目の滝に取り掛かると、山本さんがピッチを切り、二番手の羽生田さんに合図をして、ダブルで移動できるようにしてくださった。山本さんいわく、「須藤さんが4人いればするする行っちゃうんだけど・・・、時間短縮ね。」うーん、ごめんなさい。世話かけます。
一段目の滝を登る羽生田さん
この2つの滝はどちらも左側を登ったが、特に2段目はヌルヌル!しかも岩は逆層でめちゃくちゃ滑るので、左の土壁との縁ぎりぎりの場所を上がった。全員の登攀終了は10:55。
2段目の滝。左上に小さく見えるのが須藤さん
釜、小滝、ナメ、滑る岩。次々現れ、遊びがない。11:25、滝を上がると目の前に『2段の滝65m』。その上には空が広がっていて、遡行の終了点が近いことを期待したが、まだ全体の半分程度という。ここにも倒木の山。流木が徐々にたまったというよりも、大水で上からドカンドカンと落っこちてきて積まれたという感じである。
2段の滝65m。空が広がっていた。
滝の右も左も手に負えない。しかもその上にまた次があるという。休憩15分の後、左側を高巻くことになった。急斜面で、土壁はずるずる崩れそう。一度沢に下りようとしたが、偵察に行った山本さんが、ここはまだ滝の途中だという。再度高巻く。たっぷり高巻いてもう大丈夫だろうと降り立った沢は結構狭い。しかも少し下に二俣が見え、右の土壁には踏み跡もある。その踏み跡をたどってさらに高巻き、右俣の様子を見ると、細く、さっきの左俣の方が開けているという。棚で作戦会議。眼下に私たちが入渓前に見た釣り人の姿が見える。まだこの程度しか上がっていないのかとガックリ。しかし山がこれほど迫り出ているからこそ滝の連続だったのだと気づかされる。
右か左か?コルへ突き上げる本谷の手前に遡行図にない枝沢があって、それがこの左俣なのではないか?という意見もあった。羽生田さんの秘密兵器(GPS)にご登場を願って調べてみると、正解は右俣であろうとのこと。12:30再度高巻き開始、12:40に右俣に降り立った。高巻き開始からちょうど1時間。急斜面で土も脆く、崩れやすい。しかも木の枝を跨ぎ、枝を潜るの連続で疲れた!休憩中には虫に喰われ、耳、顔が痒い。
やれやれと沢の上部を見ると滝がある。また、山本さんが偵察に行って下さった。これは右俣であり、私たちは高巻いている間に、『奥の大滝』も越えてしまったらしいとのこと。戻るか、それともこのまま進むか?皆判断しかね、CL須藤さんに決定をお願いして、遡行図にない枝沢をそのまま進むことになった。850m地点。標高1100mのコルまで、あと250mの高低差である。
しばらく進んだ後、13:00に沢を後にしてコルを目指す。これも先ほどの高巻きと同じようにしんどい。途中で戸田さんが蜂(これは後にアブであっただろうとされた)に襲われる。あっという間に3箇所も刺されたという。瞬く間に腫れてしまい、小休止して治療する。
14:45荒沢尾根にたどり着いた。休憩後尾根を反れないように気をつけながら下降開始。ところが、目の前に見えていた関越自動車道がどんどん遠くなる。気をつけていたはずなのに、いつしか右側の支尾根に入り込んでいた。また作戦会議の結果、50mの高度を登り返して、予定のコースに戻ることになった。15:55に開始し、1000mの分岐地点に16:20到着。ヘロヘロである。
再度尾根に沿って、気をつけながら下っていったものの、今度は左に寄り過ぎ、このままでは谷に下りてしまうという。尾根と空の境界線が視界の左上に見える高さを維持しつつ、急斜面の木の枝や根っこ、草を絶えずつかみながらのトラバースが延々と続き疲労度は増していく。最後はなだらかな茂み中を歩いて、18:06何とか明るいうちに林道にたどり着くことが出来た。林道を少し戻ったところに小さな沢があった。これは北カドナミ沢か?車に戻ると服もザックも泥だらけでとにかく臭い。あちこち虫に刺されていて、とにかく痒い。
後はお定まりのコース。岩の湯でさっぱりとしてから、越後湯沢の中野屋でへきそばを堪能して帰路についた。JR荻窪駅22:20解散。帰りの運転は須藤さんと山本さん。皆さん本当にお世話になりました。見かけによらず厳しい沢の醍醐味を味わい、終わってみると面白かった。
山域:谷川山域/魚野川支流荒沢本谷
山行形態:訓練山行 沢登り
メンバー及び役割:須藤(CL)、山本(SL)、羽生田(装備)、戸田、白川(記録)
記録:
7日21:00荻窪駅北口集合。商店街、住宅地の狭い道路を右折、左折してあっという間に谷原。須藤さんは裏道に精通している。そして関越高速道路を経て23:30にはJR中里駅に到着していた。1年前には名前も知らなかったのに、すっかりなじみの駅になっている。入山祝い、明日の沢について語り合う。
8日は5:50起床。朝食、身支度をして荒沢山ふもとのロッジ前の駐車スペースに車をデポする。7:00出発、魚野川沿いの林道を進んだ。途中川で釣りをしている人がいた。荒沢出合に7:30に到着して、橋の袂から右岸に降りる。狭くて水量も少ない。この奥に遡行図に描かれているような広がりのある沢が続いているとは想像も出来ないほど貧弱な入渓点で、本当にここでいいのか半信半疑であった。
最初の『ナメ滝3m』は左側を上がった。岩はヌメヌメしていてずるずる滑る。釜のへつりも水中の岩の方が滑りにくかった。その後は釜、小滝、ナメの連続。ヌメリでテカテカ光る岩もあってぞっとする。黒くて小さい堰堤を越して、次はチョックストーンの滝。落ち口の右横に表面がヌルヌルした流木が立てかかっていた。須藤さんはこの木を上がり、後の4人はそれより少しは滑りにくそうな流れの左側を登った。
倒木を登る須藤さん
8:10大きなチョックストーンの滝に出た。須藤さんが大岩右手の直登を試みるが、茶色の岩がとにかく滑り、ランニングビレイを取れるような場所もないとのこと。数メートル戻って、右の岩壁を巻くことになった。羽生田さんがハーケンを打ってビレイ、須藤さんがリードで行く。途中一箇所で、ハーケンを打ってランニングビレイを取り、8:30に突破。私たちはタイブロックで通過した。ここの岩は日が当たっていたせいか、思ったほどには滑らなかった。ハーケンを回収しながら羽生田さんが上がってきたのが9:00。滝1つ越すにも結構時間がかかる。
リードで登る須藤さん
2番手戸田さん
目の前には、またチョックストーンの滝、大岩4mである。落ち口の大岩がハングっている。須藤さんはそのすぐ右を登った。背が高いと1歩が大きく有利だ。後の4人は左から上がった。登り方は五人五様だ。上がって休憩10分。また次のチョックストーンに取りかかる。釜が意外と深い。よく見ると釜の出口を流木がふさいでいた。そのことに気がついた山本さん、羽生田さんが枝々を掻き出すと水が引き、隠れていた石が姿を見せた。上がった所が二俣、左を行くとさらに二俣、その右が『前の大滝25m』だ。9:40に到着。
ここでは戸田さんがビレイ、釜の左をへつって須藤さんがリードでいく。
一段目の滝の落ち口に小さな釜、その右壁にランニングビレイを取って、さらに2段目の滝を上がった所、50mロープいっぱいの所で須藤さんが支点を取ったが、様子をみていた山本さんがロープが屈曲しすぎているから・・・とフリーで登り、釜の所に立ってロープが流れるように中継してくれた。始めにタイブロックで上がった私が、2段目の滝に取り掛かると、山本さんがピッチを切り、二番手の羽生田さんに合図をして、ダブルで移動できるようにしてくださった。山本さんいわく、「須藤さんが4人いればするする行っちゃうんだけど・・・、時間短縮ね。」うーん、ごめんなさい。世話かけます。
一段目の滝を登る羽生田さん
この2つの滝はどちらも左側を登ったが、特に2段目はヌルヌル!しかも岩は逆層でめちゃくちゃ滑るので、左の土壁との縁ぎりぎりの場所を上がった。全員の登攀終了は10:55。
2段目の滝。左上に小さく見えるのが須藤さん
釜、小滝、ナメ、滑る岩。次々現れ、遊びがない。11:25、滝を上がると目の前に『2段の滝65m』。その上には空が広がっていて、遡行の終了点が近いことを期待したが、まだ全体の半分程度という。ここにも倒木の山。流木が徐々にたまったというよりも、大水で上からドカンドカンと落っこちてきて積まれたという感じである。
2段の滝65m。空が広がっていた。
滝の右も左も手に負えない。しかもその上にまた次があるという。休憩15分の後、左側を高巻くことになった。急斜面で、土壁はずるずる崩れそう。一度沢に下りようとしたが、偵察に行った山本さんが、ここはまだ滝の途中だという。再度高巻く。たっぷり高巻いてもう大丈夫だろうと降り立った沢は結構狭い。しかも少し下に二俣が見え、右の土壁には踏み跡もある。その踏み跡をたどってさらに高巻き、右俣の様子を見ると、細く、さっきの左俣の方が開けているという。棚で作戦会議。眼下に私たちが入渓前に見た釣り人の姿が見える。まだこの程度しか上がっていないのかとガックリ。しかし山がこれほど迫り出ているからこそ滝の連続だったのだと気づかされる。
右か左か?コルへ突き上げる本谷の手前に遡行図にない枝沢があって、それがこの左俣なのではないか?という意見もあった。羽生田さんの秘密兵器(GPS)にご登場を願って調べてみると、正解は右俣であろうとのこと。12:30再度高巻き開始、12:40に右俣に降り立った。高巻き開始からちょうど1時間。急斜面で土も脆く、崩れやすい。しかも木の枝を跨ぎ、枝を潜るの連続で疲れた!休憩中には虫に喰われ、耳、顔が痒い。
やれやれと沢の上部を見ると滝がある。また、山本さんが偵察に行って下さった。これは右俣であり、私たちは高巻いている間に、『奥の大滝』も越えてしまったらしいとのこと。戻るか、それともこのまま進むか?皆判断しかね、CL須藤さんに決定をお願いして、遡行図にない枝沢をそのまま進むことになった。850m地点。標高1100mのコルまで、あと250mの高低差である。
しばらく進んだ後、13:00に沢を後にしてコルを目指す。これも先ほどの高巻きと同じようにしんどい。途中で戸田さんが蜂(これは後にアブであっただろうとされた)に襲われる。あっという間に3箇所も刺されたという。瞬く間に腫れてしまい、小休止して治療する。
14:45荒沢尾根にたどり着いた。休憩後尾根を反れないように気をつけながら下降開始。ところが、目の前に見えていた関越自動車道がどんどん遠くなる。気をつけていたはずなのに、いつしか右側の支尾根に入り込んでいた。また作戦会議の結果、50mの高度を登り返して、予定のコースに戻ることになった。15:55に開始し、1000mの分岐地点に16:20到着。ヘロヘロである。
再度尾根に沿って、気をつけながら下っていったものの、今度は左に寄り過ぎ、このままでは谷に下りてしまうという。尾根と空の境界線が視界の左上に見える高さを維持しつつ、急斜面の木の枝や根っこ、草を絶えずつかみながらのトラバースが延々と続き疲労度は増していく。最後はなだらかな茂み中を歩いて、18:06何とか明るいうちに林道にたどり着くことが出来た。林道を少し戻ったところに小さな沢があった。これは北カドナミ沢か?車に戻ると服もザックも泥だらけでとにかく臭い。あちこち虫に刺されていて、とにかく痒い。
後はお定まりのコース。岩の湯でさっぱりとしてから、越後湯沢の中野屋でへきそばを堪能して帰路についた。JR荻窪駅22:20解散。帰りの運転は須藤さんと山本さん。皆さん本当にお世話になりました。見かけによらず厳しい沢の醍醐味を味わい、終わってみると面白かった。
日程:2009年8月2日(夜発)?7日
山域:北アルプス/金木戸川の打込谷出合い付近/○○谷
当初計画は北アルプス/双六谷・蓮華谷/九郎右衛門沢/五郎沢左俣/黒部川本流・赤木沢
山行形態:沢登り
メンバー及び役割:中山(CL)、両角充康(SL・装備)、片倉(記録、配車)、新屋彰啓(食当・写真)
記録: 天気は晴れ、夕立あり
2日(日)
19:30 八王子南口発、片倉車にて神岡町道の駅へ
23:30 神岡町道の駅着
3日(月)
05:00起床、6時前に出発、途中道を間違えても7時に打保着、すぐさま待っていたタクシーに乗り、とって返して金木戸新道車止まで行く。
08:00 金木戸林道は水門まで、11:30過ぎからは4:30頃まで踏み跡をたどりひたすら高巻をして進む。
時間切れ(17時頃)となり、岩の上でビバークとなる。酒を飲みながら楽しいひと時を過ごす。20時過ぎ就寝する。
4日(火)
05:00 起床する。朝食後、6時過ぎ撤退するが、途中で山道を発見し、荷物を置いて再び出合い(打込谷との分岐)を目指す。一時間程度で3本の枝沢を渡り出会い近くに出るが、水量が多く徒渉困難であった。納得して撤退することとし、荷物デポ地点まで戻る。
11:30過ぎほぼ難なく水門地点の林道まで戻る。そのあと、中山氏と新屋氏は、間違えた山道ポイントを確認に行く。
12:00 水門から車止まで約3時間、15:07に着き、中山さんがタクシーを呼びに携帯可能地域まで先行する。
15:40 タクシーにて打保の片倉車まで戻る。両角、新屋の両氏は明日帰宅、中山氏と片倉は他の沢に挑戦することとなったが、今晩は4人で新平湯温泉に素泊まりすることとなる。平湯温泉バスターミナル付近で夕食をしたのち素泊り温泉で11時ころまで酒を飲みながら、明日の予定地を探す。検討の結果、比較的緩やかな遡行が望める○○谷となる。
5日(水)
5:00 起床、帰宅する両氏を平湯温泉バスターミナルまで送った後、途中のコンビニで朝食をし、折立へ向かう。有峰湖手前では有料道路(1800円)を渡る小熊を発見した。
8:00 折立着。一時間ほどで○○川の○○橋に着く。
9:40 遡行準備をした後、遡上を開始する。行き成り進行困難な堰堤にぶつかる。石を積み上げてあるところを流木を利用して突破する。
単調な遡行で飽きが来た頃、鳶谷との分岐に差し掛かるが、何せ遡行図がない。出発時に合わせたはずの高度計の高度とも高度が違う。不安を胸にとにかく遡上を継続する。このまま単調なゴーロが続くのかなと思い気や、激流の飛沫を浴びながらの少し緊張する滝登りとなる。それから間もなく鋭いゴルジュを迎える。時すでに15時を過ぎている。覚悟をきめて高巻敢行、50分ほどで突破する。これで一安心するが、また、ちょっとしたスラブに差し掛かり、少し胸が躍るが難なく通過する。4時を過ぎビバーク地を探すが、なかなか良いところがない。
16:30 それなりの所で妥協する。
17:00 中山氏は岩魚釣りをする。片倉は火をおこすが、二人ともなかなかうまくいかない。中山氏が釣りから戻り、火をおこす。片倉は米を研いで、食事の用意をする。雨も降らず、快適に夕食と日本酒をのみ、疲れ果てて、お休みとなる。中山氏は真夜中に起きておき火の面倒を見ていたようだ。増水がないかも調べていたのかもしれない。。
6日(木)
5:00 起床。7:00過ぎ幕営地を立つ。途中岩魚の魚影が前よりも増して目につく。行く先々での岩魚との出会いにたまらず中山氏が岩魚釣りに勤しむ。するとすぐ釣れる。1匹、2匹、片倉もやってみると30センチほどの岩魚が針にひっかかる。魚は再び沢に戻す。今日の沢はこじんまりした、小気味のよい遡行である。
そうこうするうち太郎小屋のアルバイトが釣りをしているところに出くわす。場所をはっきり確認して片倉は安心する。その後、小一時間ほどで尾根に出る。詰めの登りも緩やかで草花が咲き、酔いもの、いや良いものであった。
10:58 太郎平小屋の西側尾根に出る。ここで遡行体制をとく。
13:30 太郎山登山口着。デポした車で着替えたのち今日の宿泊先である新穂高のまほろばへ向かう。例外なく途中の農協ストアで酒とビールを購入する。
16時30分頃まほろばに到着する。早速中山さんと家族風呂に入り、ビールで乾杯する。風呂のはしごをして一般風呂に入る。
21時頃、二人とも疲れたせいか、就寝することにする。夕食はウナギと岩魚の刺身と飛騨牛を日本酒を嗜みながら美味しく頂く
翌朝、三々五々起きて風呂に入るなり、酒を飲むなり。朝食もうまかった。
14:20頃、八王子駅北口着、自宅についたのは16号が込んでいて、自宅についてのは17:30であった。
感想など。
今回は計画に変更があった。
双六谷から蓮華谷、黒部川本流、赤木沢のコースへ行けなかったことは少し残念であった。。その代り、真川の○○谷を足の爪が剥がれるまで十分堪能できた。
はじめての、沢釣りで岩魚が釣れたこと。2万5千分の地図のみで谷を遡行でき、その上、素晴らしいゴルジュに遭遇し、それを高巻したこと。4日間の長い時間に挑戦できたこと。その他、いろいろの授業を受けられたこと。また、次回の北アルプスへの足掛かりとなった。
山域:北アルプス/金木戸川の打込谷出合い付近/○○谷
当初計画は北アルプス/双六谷・蓮華谷/九郎右衛門沢/五郎沢左俣/黒部川本流・赤木沢
山行形態:沢登り
メンバー及び役割:中山(CL)、両角充康(SL・装備)、片倉(記録、配車)、新屋彰啓(食当・写真)
記録: 天気は晴れ、夕立あり
2日(日)
19:30 八王子南口発、片倉車にて神岡町道の駅へ
23:30 神岡町道の駅着
3日(月)
05:00起床、6時前に出発、途中道を間違えても7時に打保着、すぐさま待っていたタクシーに乗り、とって返して金木戸新道車止まで行く。
08:00 金木戸林道は水門まで、11:30過ぎからは4:30頃まで踏み跡をたどりひたすら高巻をして進む。
時間切れ(17時頃)となり、岩の上でビバークとなる。酒を飲みながら楽しいひと時を過ごす。20時過ぎ就寝する。
4日(火)
05:00 起床する。朝食後、6時過ぎ撤退するが、途中で山道を発見し、荷物を置いて再び出合い(打込谷との分岐)を目指す。一時間程度で3本の枝沢を渡り出会い近くに出るが、水量が多く徒渉困難であった。納得して撤退することとし、荷物デポ地点まで戻る。
11:30過ぎほぼ難なく水門地点の林道まで戻る。そのあと、中山氏と新屋氏は、間違えた山道ポイントを確認に行く。
12:00 水門から車止まで約3時間、15:07に着き、中山さんがタクシーを呼びに携帯可能地域まで先行する。
15:40 タクシーにて打保の片倉車まで戻る。両角、新屋の両氏は明日帰宅、中山氏と片倉は他の沢に挑戦することとなったが、今晩は4人で新平湯温泉に素泊まりすることとなる。平湯温泉バスターミナル付近で夕食をしたのち素泊り温泉で11時ころまで酒を飲みながら、明日の予定地を探す。検討の結果、比較的緩やかな遡行が望める○○谷となる。
5日(水)
5:00 起床、帰宅する両氏を平湯温泉バスターミナルまで送った後、途中のコンビニで朝食をし、折立へ向かう。有峰湖手前では有料道路(1800円)を渡る小熊を発見した。
8:00 折立着。一時間ほどで○○川の○○橋に着く。
9:40 遡行準備をした後、遡上を開始する。行き成り進行困難な堰堤にぶつかる。石を積み上げてあるところを流木を利用して突破する。
単調な遡行で飽きが来た頃、鳶谷との分岐に差し掛かるが、何せ遡行図がない。出発時に合わせたはずの高度計の高度とも高度が違う。不安を胸にとにかく遡上を継続する。このまま単調なゴーロが続くのかなと思い気や、激流の飛沫を浴びながらの少し緊張する滝登りとなる。それから間もなく鋭いゴルジュを迎える。時すでに15時を過ぎている。覚悟をきめて高巻敢行、50分ほどで突破する。これで一安心するが、また、ちょっとしたスラブに差し掛かり、少し胸が躍るが難なく通過する。4時を過ぎビバーク地を探すが、なかなか良いところがない。
16:30 それなりの所で妥協する。
17:00 中山氏は岩魚釣りをする。片倉は火をおこすが、二人ともなかなかうまくいかない。中山氏が釣りから戻り、火をおこす。片倉は米を研いで、食事の用意をする。雨も降らず、快適に夕食と日本酒をのみ、疲れ果てて、お休みとなる。中山氏は真夜中に起きておき火の面倒を見ていたようだ。増水がないかも調べていたのかもしれない。。
6日(木)
5:00 起床。7:00過ぎ幕営地を立つ。途中岩魚の魚影が前よりも増して目につく。行く先々での岩魚との出会いにたまらず中山氏が岩魚釣りに勤しむ。するとすぐ釣れる。1匹、2匹、片倉もやってみると30センチほどの岩魚が針にひっかかる。魚は再び沢に戻す。今日の沢はこじんまりした、小気味のよい遡行である。
そうこうするうち太郎小屋のアルバイトが釣りをしているところに出くわす。場所をはっきり確認して片倉は安心する。その後、小一時間ほどで尾根に出る。詰めの登りも緩やかで草花が咲き、酔いもの、いや良いものであった。
10:58 太郎平小屋の西側尾根に出る。ここで遡行体制をとく。
13:30 太郎山登山口着。デポした車で着替えたのち今日の宿泊先である新穂高のまほろばへ向かう。例外なく途中の農協ストアで酒とビールを購入する。
16時30分頃まほろばに到着する。早速中山さんと家族風呂に入り、ビールで乾杯する。風呂のはしごをして一般風呂に入る。
21時頃、二人とも疲れたせいか、就寝することにする。夕食はウナギと岩魚の刺身と飛騨牛を日本酒を嗜みながら美味しく頂く
翌朝、三々五々起きて風呂に入るなり、酒を飲むなり。朝食もうまかった。
14:20頃、八王子駅北口着、自宅についたのは16号が込んでいて、自宅についてのは17:30であった。
感想など。
今回は計画に変更があった。
双六谷から蓮華谷、黒部川本流、赤木沢のコースへ行けなかったことは少し残念であった。。その代り、真川の○○谷を足の爪が剥がれるまで十分堪能できた。
はじめての、沢釣りで岩魚が釣れたこと。2万5千分の地図のみで谷を遡行でき、その上、素晴らしいゴルジュに遭遇し、それを高巻したこと。4日間の長い時間に挑戦できたこと。その他、いろいろの授業を受けられたこと。また、次回の北アルプスへの足掛かりとなった。
日程:2009年7月28日(火)
山域:奥多摩 海沢
山行形態:自主山行・沢登り
メンバー及び役割:中山SL/装備,片倉,白川記録
記録:
前日、片倉さんから電話連絡。「場所変更で、海沢になりました」。「それってどこの沢?どんな沢?」「え?泳ぐ沢?」カメラ防水じゃない。どうしよう・・・。HPをチェックすると景勝地、散策、釣りというのがほとんど。沢登の記録を見つけて読んでみると、なるほど泳ぐようだ。
JR青梅線立川発7:20の列車で合流。早速リーダーの中山さんから、遡行図のコピーを戴いた。先週末にも沢に行っていて中1日であるのを配慮して、易しい沢を選んでくださったのだ。
奥多摩駅からはタクシーで林道半ばまで入り、身支度を整えて9:20出発した。右岸の壁の上を沢に沿って林道が通っているので、必要があれば高巻きに利用できる。沢中のがっちりした堰堤を越したことを確認し、ガードレールの間から沢に下降した。おそらく天地沢出合の辺りである。
遡行始めの下部瀑流帯(『東京周辺の沢』白山書房による)は淵と釜と小滝が続く。早速1つ目の淵から泳ぎである。渡渉の練習。
ロープを引いて泳ぐ中山さん
ロープにザックをつないで1mのところをエイト結びしてハーネスにつけ、先に行った中山さんにロープを引っ張ってもらった。ザックが浮袋になってくれる。左壁伝いに水中を歩いたら、結構行けて泳ぐ部分はそんなに多くはなかった。小滝の下まで行き、流れの左を上がる。中山さんは岩の隙間にハーケンを打ってセルフを取っていた。これが基本なのだと思った!
次の淵はロープに中山さんのザックをつけて、それを浮き袋にして、順番に通過する方法を教えていただいた。1人がたどり着いたらザックを戻して、次の者がまた浮き袋にするのである。しかし何と7割方、歩けたのである。水嵩は意外と少なかった。であっても2通りのやり方を教えていただけたのはよかったと思う。
中山さんにロープのつけ方を教えていただく
3つ目の淵は水深がかなりあり、足は沢底に届かなかった。ここはそれぞれが泳いで通過した。流れは緩く、水は透き通っていて、しかも温くて気持ちがいい。癒し系?優しい沢だ。靴履なので、足の裏で水を蹴れないのが物足りないけれど、こじんまりとした平泳ぎでもそれなりに進むので結構楽しめた。
10:27ちょっとした河原で休憩。小滝は簡単に登れるものばかり。苔の緑も美しい。さらに行くと左岸に井戸沢の滝。水量もたっぷりあって綺麗だ!通過は11:10。その後は石を積んで固めたような堰堤にたどり着いたが、登る必要もないということで、左手前を上がって林道に出て、そのまま東屋までいき、11:25に到着、小休止。途中の林道からは水際に座る釣り人の姿が見えた。林道を歩きながら、ここと思う所から沢に下りればよいのだから、釣りにはもってこいの場所といえる。
東屋の先は探勝路で、橋を渡ると三つ釜。下の釜を入れると釜は4つ。滝の直登は出来なさそうなので、そのまま右手から階段を登って、その先から沢に入った。
程なくネジレの滝で12:08到着。最初の滝は釜が深く、岩がまっすぐに立っているので、直登はできない。左側の岩を上がり、トラバースした後、左右の手にそれぞれ残置シュリンゲを持って下り、滝の落ち口に降りた。2つ目の滝は、右壁を中山さんがリードして下さった。
リードで登る中山さん
カラビナ通過中の片倉さん(上から撮影)
私はカラビナの通過で手こずる。左側にチムニーがある場所はバランスが取りにくいが、体を横にして押し付けて登れば行ける。しかしそれもフォローで登るからであって、滑り落ちたら下の釜まで落ちかねない高度感とルートを探りながらのリードはやっぱり厳しいだろうなと思わされた。
最後は不動の滝。ちょっとこれは登れない。中山さんの分析は「この滝は落ち口の下がハングしているので、下から登るのは無理。上から懸垂下降で降りてきて、トップロープで登るしかない」。というわけで、12:50右に大きく高巻いて帰ることになった。
落ち口からの一段目は水流の後がハングっている。苔が美しい。
すぐに踏み後発見。急な斜面はコンクリートで固め、足場もつけられていた。東屋で装備を解いていたら、雨。観光客の一団がやってきて、インストラクターの説明を聞きながら、三つ釜のほうに消えていった。林道を下り、そのまま奥多摩駅まで歩く。電車は1時間に2本。待ち時間でザックの中を整理して乗車、立川の韓国料理のお店で反省会の後解散した。中山さん、有難うございました!!
山域:奥多摩 海沢
山行形態:自主山行・沢登り
メンバー及び役割:中山SL/装備,片倉,白川記録
記録:
前日、片倉さんから電話連絡。「場所変更で、海沢になりました」。「それってどこの沢?どんな沢?」「え?泳ぐ沢?」カメラ防水じゃない。どうしよう・・・。HPをチェックすると景勝地、散策、釣りというのがほとんど。沢登の記録を見つけて読んでみると、なるほど泳ぐようだ。
JR青梅線立川発7:20の列車で合流。早速リーダーの中山さんから、遡行図のコピーを戴いた。先週末にも沢に行っていて中1日であるのを配慮して、易しい沢を選んでくださったのだ。
奥多摩駅からはタクシーで林道半ばまで入り、身支度を整えて9:20出発した。右岸の壁の上を沢に沿って林道が通っているので、必要があれば高巻きに利用できる。沢中のがっちりした堰堤を越したことを確認し、ガードレールの間から沢に下降した。おそらく天地沢出合の辺りである。
遡行始めの下部瀑流帯(『東京周辺の沢』白山書房による)は淵と釜と小滝が続く。早速1つ目の淵から泳ぎである。渡渉の練習。
ロープを引いて泳ぐ中山さん
ロープにザックをつないで1mのところをエイト結びしてハーネスにつけ、先に行った中山さんにロープを引っ張ってもらった。ザックが浮袋になってくれる。左壁伝いに水中を歩いたら、結構行けて泳ぐ部分はそんなに多くはなかった。小滝の下まで行き、流れの左を上がる。中山さんは岩の隙間にハーケンを打ってセルフを取っていた。これが基本なのだと思った!
次の淵はロープに中山さんのザックをつけて、それを浮き袋にして、順番に通過する方法を教えていただいた。1人がたどり着いたらザックを戻して、次の者がまた浮き袋にするのである。しかし何と7割方、歩けたのである。水嵩は意外と少なかった。であっても2通りのやり方を教えていただけたのはよかったと思う。
中山さんにロープのつけ方を教えていただく
3つ目の淵は水深がかなりあり、足は沢底に届かなかった。ここはそれぞれが泳いで通過した。流れは緩く、水は透き通っていて、しかも温くて気持ちがいい。癒し系?優しい沢だ。靴履なので、足の裏で水を蹴れないのが物足りないけれど、こじんまりとした平泳ぎでもそれなりに進むので結構楽しめた。
10:27ちょっとした河原で休憩。小滝は簡単に登れるものばかり。苔の緑も美しい。さらに行くと左岸に井戸沢の滝。水量もたっぷりあって綺麗だ!通過は11:10。その後は石を積んで固めたような堰堤にたどり着いたが、登る必要もないということで、左手前を上がって林道に出て、そのまま東屋までいき、11:25に到着、小休止。途中の林道からは水際に座る釣り人の姿が見えた。林道を歩きながら、ここと思う所から沢に下りればよいのだから、釣りにはもってこいの場所といえる。
東屋の先は探勝路で、橋を渡ると三つ釜。下の釜を入れると釜は4つ。滝の直登は出来なさそうなので、そのまま右手から階段を登って、その先から沢に入った。
程なくネジレの滝で12:08到着。最初の滝は釜が深く、岩がまっすぐに立っているので、直登はできない。左側の岩を上がり、トラバースした後、左右の手にそれぞれ残置シュリンゲを持って下り、滝の落ち口に降りた。2つ目の滝は、右壁を中山さんがリードして下さった。
リードで登る中山さん
カラビナ通過中の片倉さん(上から撮影)
私はカラビナの通過で手こずる。左側にチムニーがある場所はバランスが取りにくいが、体を横にして押し付けて登れば行ける。しかしそれもフォローで登るからであって、滑り落ちたら下の釜まで落ちかねない高度感とルートを探りながらのリードはやっぱり厳しいだろうなと思わされた。
最後は不動の滝。ちょっとこれは登れない。中山さんの分析は「この滝は落ち口の下がハングしているので、下から登るのは無理。上から懸垂下降で降りてきて、トップロープで登るしかない」。というわけで、12:50右に大きく高巻いて帰ることになった。
落ち口からの一段目は水流の後がハングっている。苔が美しい。
すぐに踏み後発見。急な斜面はコンクリートで固め、足場もつけられていた。東屋で装備を解いていたら、雨。観光客の一団がやってきて、インストラクターの説明を聞きながら、三つ釜のほうに消えていった。林道を下り、そのまま奥多摩駅まで歩く。電車は1時間に2本。待ち時間でザックの中を整理して乗車、立川の韓国料理のお店で反省会の後解散した。中山さん、有難うございました!!
日程:2009年7月24日(金)夜?7月26日(日)
山域:谷川連峰・魚野川水系・茂倉谷
山行形態:定例山行・沢登り
メンバー及び役割:清野SL・山本CL記録・片倉・戸田・白川・大浦食当
記録:
7/24(金)22:00新座駅?越後中里駅泊
7/25(土)7:30蓬峠への林道に駐車・7:45入渓・13:00二俣左へ1350m・14:55沢を藪が覆い源頭の雰囲気・16:30茂倉岳避難小屋
7/26(日)7:50避難小屋発・10:25茂倉新道入口駐車場
7/24雨模様の中、新座駅に集合し、清野車で越後湯沢へ向かう。関越では一時的に土砂降りとなり明日の天候が懸念される。越後中里駅で入山祝いの杯を空けて早々に眠る。
7/25天候は持ち直し曇り空。蓬峠へ向かう林道の駐車スペースに車を停めて、橋へ戻り茂倉新道から分かれて茂倉谷への道を辿る。取水口の上より入渓。水量もそこそこ有り、日も差してきて楽しい沢歩きだ。清野・大浦は歩きながら蕗採りなどしている。両岸から被さる木が鬱陶しいが、登れる滝が次々出てきて、シャワークライム・腰くらいまでの渡渉も有る。ロープは1回出しただけ。フリクションはよく効くが、約2名滑り落ちて眼鏡壊したり、青痣作ったりしていた。1,350m付近で沢は開け二俣となり左へ入る。日が差して青空となり暑いくらいだ。源流部は、ホールド・スタンスが豊富にある斜度の緩い滝の連続となる。登るほどに岩がぬめり滑りやすくなる。やがて藪が沢を覆い源頭の雰囲気となるが、笹藪の中にまだ滝場が出てくる。水を汲み、密藪に突っ込む。いつの間にか雲に覆われ大粒の雨がバラバラと落ち、稜線にはガスが掛り始めた。背丈以上の笹藪をこぐうちに、遥か右手に茂倉小屋を見つけ、藪をトラバースして茂倉小屋へたどりつく。小屋は屋根が壊れて雨漏りしていたが、貸し切りで快適な一夜を過ごす。本来の計画は、檜又谷を下降して、中流域で幕営する予定だったが、体調不良になった人がいたことも有り、予想以上に遡行に時間が掛った。結果としては、天候も良くなかったので、小屋泊まりして正解だった。
7/26天候は回復して高曇り。遠くの山がよく見える。気持ち良い風に吹かれながら茂倉新道を下る。稜線上は高山植物の花盛り。矢場ノ頭から先の樹林帯は、木の根が張り出し極端に歩きにくい道を汗をかきながら一気に下山する。岩の湯で汗を流し、中野屋で「へぎそば」を腹いっぱい食べて帰途に就く。
平凡な沢では有るが、水量も有り、直登可能な滝ばかりで、会山行など多人数で行くには良い沢だと思う。詰めの二俣で茂倉小屋方向に舵を切れれば、もう少し楽に抜けられたと思う。避難小屋泊まりも状況によっては快適。
大浦食当、「鰻寿司」ごちそうさまでした!
山域:谷川連峰・魚野川水系・茂倉谷
山行形態:定例山行・沢登り
メンバー及び役割:清野SL・山本CL記録・片倉・戸田・白川・大浦食当
記録:
7/24(金)22:00新座駅?越後中里駅泊
7/25(土)7:30蓬峠への林道に駐車・7:45入渓・13:00二俣左へ1350m・14:55沢を藪が覆い源頭の雰囲気・16:30茂倉岳避難小屋
7/26(日)7:50避難小屋発・10:25茂倉新道入口駐車場
7/24雨模様の中、新座駅に集合し、清野車で越後湯沢へ向かう。関越では一時的に土砂降りとなり明日の天候が懸念される。越後中里駅で入山祝いの杯を空けて早々に眠る。
7/25天候は持ち直し曇り空。蓬峠へ向かう林道の駐車スペースに車を停めて、橋へ戻り茂倉新道から分かれて茂倉谷への道を辿る。取水口の上より入渓。水量もそこそこ有り、日も差してきて楽しい沢歩きだ。清野・大浦は歩きながら蕗採りなどしている。両岸から被さる木が鬱陶しいが、登れる滝が次々出てきて、シャワークライム・腰くらいまでの渡渉も有る。ロープは1回出しただけ。フリクションはよく効くが、約2名滑り落ちて眼鏡壊したり、青痣作ったりしていた。1,350m付近で沢は開け二俣となり左へ入る。日が差して青空となり暑いくらいだ。源流部は、ホールド・スタンスが豊富にある斜度の緩い滝の連続となる。登るほどに岩がぬめり滑りやすくなる。やがて藪が沢を覆い源頭の雰囲気となるが、笹藪の中にまだ滝場が出てくる。水を汲み、密藪に突っ込む。いつの間にか雲に覆われ大粒の雨がバラバラと落ち、稜線にはガスが掛り始めた。背丈以上の笹藪をこぐうちに、遥か右手に茂倉小屋を見つけ、藪をトラバースして茂倉小屋へたどりつく。小屋は屋根が壊れて雨漏りしていたが、貸し切りで快適な一夜を過ごす。本来の計画は、檜又谷を下降して、中流域で幕営する予定だったが、体調不良になった人がいたことも有り、予想以上に遡行に時間が掛った。結果としては、天候も良くなかったので、小屋泊まりして正解だった。
7/26天候は回復して高曇り。遠くの山がよく見える。気持ち良い風に吹かれながら茂倉新道を下る。稜線上は高山植物の花盛り。矢場ノ頭から先の樹林帯は、木の根が張り出し極端に歩きにくい道を汗をかきながら一気に下山する。岩の湯で汗を流し、中野屋で「へぎそば」を腹いっぱい食べて帰途に就く。
平凡な沢では有るが、水量も有り、直登可能な滝ばかりで、会山行など多人数で行くには良い沢だと思う。詰めの二俣で茂倉小屋方向に舵を切れれば、もう少し楽に抜けられたと思う。避難小屋泊まりも状況によっては快適。
大浦食当、「鰻寿司」ごちそうさまでした!