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登攀チームの上林さんから、レポートが届きました。
11月26日(土)
縦走組みと合同で、救助に必要な基本的なロープワークの練習。詳細は省略。
11月27日(日)
山岳スポーツセンター内の教室で、縦走組と登攀組 合同での簡単なオープニングの後、早速 二手に分かれて屋外での実習開始。登攀班は数グループに別れて、下記の4つの実習を順番に実施した。以下1番目、2番目、3番目、4番目とする。
1番目 : 「マリナーノットによるロープの架け替え」を使用したセルフレスキューと遭難者の引き上げ
2番目 : ロープにぶらさがった遭難者の場所まで別のロープで懸垂下降して、遭難者と確保者を連結し、遭難者のロープを切断して遭難者を救助する
3番目 : ロープとオートブロックシステムによる1対1と3対1の引き上げシステム
4番目 : ロープにぶらさがった遭難者を、確保者が同じロープで下降させて救助する
結論から言うと、それぞれのシステムが難しく、理解に至る前に実習に入り、言われるがままに実習を行ったため大半が全く身についていないし、中身を説明するのも非常に難しい。(そもそも理解していないし、既に記憶があやふや)
1番目。懸垂下降中にロープの結び目を通過しなければならないという設定で、マリナーノットを使用して、一旦別のシュリンゲにテンションを移して、結び目をバイパスさせてからメインのロープにテンションを戻す実習だが、時間切れで実施できず。同様の手法で、遭難者をムンターヒッチ(半マスト)で引き上げ中に、マリナーノットで結び目をバイパスする実習を実施。こちらはテンションを移したシュリンゲで結び目をバイパスさせた後、マリナーをゆるめると徐々にテンションがメインロープに戻るのを実習できた。
2番目。予めテープスリングで簡易チェストハーネスを着けた遭難者(こんな事はもちろん有り得ない)がロープにぶら下がり、確保者が別のロープで確保者の直ぐ下まで懸垂下降して仮固定。確保者が遭難者のハーネスとチェストハーネスを確保者に連結し、遭難者のロープを切断して再び懸垂で下降する。システムは多少複雑だが、やっている事は単純なので判りやすい。ポイントは確保者がデージーチェーン等を使用して逆V字型に懸垂下降のシステムをセットする事と、ロープを切断した時に遭難者にショックがかからないような位置に下降して仮固定する事。
前日の事前講習で初めて習ったミュールノットが実習直前にうまくできずにあせったが、その場で両角さんに教えていただいた「MSC方式のミュールノット」が非常に判りやすく、今回の講習の一番の収穫だったかもしれない。以前から懸垂下降中の仮固定を練習したかったが機会がなかったので、大変良い機会だった。実習中 懸垂下降で仮固定する前に両手を離した事を指摘されたが、ロープとオートブロックの摩擦で二重遭難をまぬがれる。危ない危ない。(もちろん このような時のためのバックアップは施してある)
3番目。斜面の下に居る遭難者や荷物をロープを使用して引き上げるという想定。1対1は、ロープで確保した遭難者を支点のカラビナでのムンターヒッチを経由して引き上げる。ポイントは遭難者側のロープと支点のカラビナをオートブロックで結び、引き上げる側が手を離してもオートブロックによりロープが戻らない事。逆V型と言うらしい。続けてロープをZ型にセットして3対1の実習。当然1対1より楽に引き上げられるはずだが、実習場所の制限で遭難者が斜面の下に居らず、水平にテンションをかけているだけなので、あまり軽くなった実感は無い。全員終わった時点で人口壁の途中にセットされた器具を使用して、実際にロープにぶらさがった人を引っ張る体験。
4番目。人工壁の最上段に上がり、動けない遭難者を1本のロープで確保者が懸垂下降しながら一緒に降ろすという想定。この実習はシステムが複雑で手順も多く、自分では全くセットできなかった。一から十までペアを組んでいただいた両角さんに指示していただき、確保者が遭難者に指示されて下降した感じ。システムも手順も全く説明できない。
感想:
今回参加人数も多く、講習そのものを効率よく行うために予め救助用システムの大部分がセットされた状態で講習を行った。(救助用システムを毎回セットしていたのでは膨大な時間がかかるため仕方が無い)このためシステムを理解する前に「説明された手順でこなす」と言った感が強く、システムを理解するまでには何度か同じことを繰り返す必要があると感じた。毎年参加しても私の頭では習得するのに5年はかかりそうだ。
前日の事前講習を含めて自分にとって収穫があったのは下記の点と言える。
・マリナーノットの利点、結び方
・ミュールノットによる懸垂下降中の仮固定
・テープシュリンゲによる簡易ハーネス(複数方式)
・プルージックやオートブロックの特性が遭難救助に極めて有効な事
・インライン エイトノットによる流動分散(インライン エイトノットも結構難しい)
・登攀中の遭難者の救助の難しさをなんとなく実感した
あまりのできの悪さに我ながらあきれ返り、山と渓谷社の「全図解レスキューテクニック」を直ぐに購入して読み始めたのが一番の収穫だったかもしれない。実際 講習会で教えていただいたかなりの部分が判りやすく解説してあった。次回はこの本で予習してから講習会に望む事にしようと思う。
以上。
メンバー 両角、樋田
人工呼吸と心臓マッサージ、蘇生法、止血法、ねんざの手当など。さわりだけ。毎年やっているので、行ってない人はいっておくように。神奈川県の日赤が主催で8月末から3日間の講習があり、行ける人はぜひ参加して欲しい。
気道確保。山岳の場合、動けないんで 新しい方法 (下顎挙上法)を学んだが、これが有効だった(ここの図3参照)。
(樋田)人形を使って心臓蘇生。人形の正しいところをおさえているかどうか、オシロに出てくる。かなりあわなくて、1回や2回やったくらいじゃなかなかうまくいかない。毎年やってないと実際には使えない。
メンバー 樋田
講習に参加。非常に水量が多く、講師のなかには「こりゃ無理だ」という人もいた。受講生は17人。結構時間もかかり、解散は6時近く。それでも最後までどこもまかないで行った。尾根に出る手前で先頭が足を踏み外して落石、ひやっとしたことがあった。天気は11日は土砂降り、12日は雨が上がったので、天候的にはあまりよくなかった。田中たかね、牧野、高橋、しもこしだ、春木(主任講師)各氏。
生徒:西舘×2 古屋 講師:門脇
会に入ってからの冬山講習参加。2004/10入会同期の3人で参加することに。講師には門脇さんが。
今回の谷川での講習は、雪洞生活技術を学ぶことである。我々新人3人は、事前に装備の相談確認などなどしつつ、まだ未体験の雪洞掘りに’わくわく’し、大きな雪洞を掘るぞ! タバコ部屋も作ろう、メイン雪洞部屋とタバコ部屋をつなげようか?などと、夢を膨らませていた。
3/11夜 谷川の駅からタクシーで谷川ロープウェイの駅へ向かう。すでに大勢の先客。暖かいとは聞いていたが、ムッとする暑さが感じられる。とりあえず自動販売機でビールを購入、つまみ片手に集まり、周りで寝ている方々に気を遣いながら、寝酒を始める。ビールのお代わりは自動販売機で、タバコも灰皿があり、トイレだってある。暖かい部屋で極めて快適な時間である。講師の皆さんと我々生徒、歓談の時間が続きます。明日からの講習に冠する質問をしたり、また道具の確認を始めたり、、
床についたのは12時は確実に過ぎていたと思います。ここは床暖房があり、そのまま身体を預けてしまうと熱すぎる。マットを’暑さ避け’のために引きシュラフも使わず寝ます。うとうとしたところで床の暑さに寝苦しい、、一晩中 この暑さで熟睡は出来なかった気がしました。
翌朝7時ころ出発、ロープウェイに乗ってスキー場まで。スキー場出発が8時頃。ここでアイゼン・ワカンを漬けていざ出発です。途中一回休憩を取り9時過ぎには雪洞設置場所に到着。雪洞掘りスタートです。我々の班は個人の装備で持ってきたモノも含めスコップを三本用意、五人の生徒に門脇講師で六名、門脇さんから雪洞掘りの市道をいただく。道路工事のように掻き出すのかと思いましたが、四角く切り出すように掘るのです。四角く掘り出した雪の塊を、ツェルトやシートに載せ、ある程度溜まったらそれを谷底へ捨てる。これの繰り返しです。ただ四角く切り出している姿勢は腰をかがめての作業だし、雪を捨てるのも腰をかがめての作業なので、十分に力が入らず結構疲労してくるモノです。交代しながら大きな雪洞を夢見て掘り続けます。この日の天気は曇り、雪も降っていて風もあり、あまりよい天気ではりませんでした。雪洞を掘る時には、濡れるので食器を洗う時の手袋がよいと謂われ持参しました。だいぶ役に立ったのですが吹雪いていて濡れる感覚よりも雪にまみれて首筋から身体に雪が入ってきて冷たいし、手袋もまくりあがり手首から雪が入って冷たい、、雪洞掘りで身体は暖まっているんじょですが、さすがに雪が身体にはいると冷たく結構冷えてしまいました。雪洞ができあがったのは二時頃でしょうか?我々の班の人数にしては大きな雪洞が出来ました。当初のタバコ部屋は断念、結構雪洞掘りは大変でした。お昼の休憩を取ったあと、雪洞内部をコッヘルで平らに整え、地面を整地、壁面にろうそく置き用の小さな棚をいくつか作成し、入口に雪の塊を使って塞ぎ、半分をツェルトでふさぎ完成です。
同時に入口から出て左側に通路を造りその奥にトイレを作成、これで快適な雪洞生活が出来そうです。湯を沸かし一杯、ロウソクの火で幻想的な空間の中、夕食を食べ、各々持参したつまみを食べ、楽しい雪洞生活です。他の班から来客を迎えたり品柄、楽しい時を過ごしました。外は吹雪が強くなり、石化津作成したトイレも埋まってしまっている有様、ダイブ天気が荒れてきた様子。
就寝は入口近くを門脇さんが、その他は適宜新聞紙を引きその上にマットを引いてシュラフに入り、寝ました。この入口は、雪の塊とツェルトで塞いだのですが、強風と吹雪のため雪が吹き込んでいます。夜トイレに行こうと目覚めると門脇さんの頭はすっかり雪に埋もれていてビックリしました。
翌日 六時頃出発。今日は谷川岳に向かって歩きの勉強です。昨日からの雪も手伝ってラッセルです。生徒先生合わせて20名以上が交代にラッセルしながら進みます。膝より上まで埋まってしまう雪の上をラッセルするのは思った以上にきついものでした。皆さん限界までラッセルして交代し、いちばん後ろにつきます。途中門脇さんが銭湯を歩き道を確認しながら、直線で結べるようになると我々がラッセルで進む。門脇さんは、’ここにいくの?’と思うような道を進んでいきます。後で聞いたら、夏道を何度も歩いているから分かるんだ、とのこと。急な下りを選んで歩いたりしている後ろから、不思議にはおもっていましたが、そういうことだったそうです。
八時ころ肩の小屋に到着、天気がよければ谷川岳を目指すのですが昨日に引き続き今日も強風、吹雪 とてもでないけれど谷川岳には挑めないということで、ここで折り返すことに。
しかしこの天気の中、肩の小屋近辺ではアタック隊がいるらしく、いくつかのテントがあり谷川岳には数組のアタック隊が登っていました、
我々は来た道を戻り、昨日のロープウェイまで、ラッセルをして帰ります。雪洞設置場所までは今来た轍がありますが、それ以降はまた本格的なラッセルです。ここから班対抗ラッセル競争?とばかりに、班ごとに分かれてラッセルをします。ここで我が班、我が会の期待の新人古屋さんがとてつもない体力でラッセルラッセル、、隣の班を意識しながら、古屋さんを中心に懸命に雪をかき分けていきました。ロープウェイ駅に着く頃には汗が出ているほどでした。ロープウェイに乗って降り、その駅で解散式。
その後門脇班は八王子で反省会をして帰りました。
今回の講習は雪洞とラッセル訓練でした。雪洞を掘るということは、なかなか普段の山行で実施することではないけれど、もし緊急の事態で一晩を明かさなければならなくなったとき、小さな雪洞でも掘って中で一晩を過ごすことで雨露をしのぐことができる、ということを知っているのと知らないのとでは違うのだ、と言われました。今回のように大きな雪洞を掘るのは、緊急時にはできないにしても、斜面に穴を掘ること 自体を体験できたことで、大変な勉強になったのではないか?と思います。
とにかく大きく掘りました。
避難小屋までのラッセルは腿くらいの深さでした。
神奈川山岳連 冬山講習 富士山 2005年2月11日?13日
MSC参加者:古屋 西館彰芳 西館章子(記録) 講師として門脇氏
今回の冬山講習は、主任講師に蝸牛の太田氏 講師には門脇氏、蝸牛の古関氏、茅ヶ崎の鈴木氏の4名、受講生は、MSCの新人 古屋+西館彰芳+西館章子の3名のほか総勢17名が参加。すでに12/19には開校式(ちなみに西館両名は八ヶ岳の忘年会出席で、こちらを欠席)1/15?16は山スポで1日目は机上講習と山スポまえの土手でアイゼン有り無しの歩行訓練、ワカンの履き方、耐風姿勢、滑落停止の訓練、2日目は個人の体力をみるため三の塔途中まで登山ののち、午後からは、これからの講習での班分け発表、班ごと3/11?13の谷川の食糧計画 共同装備計画などをしました。我々新人3名は、他2名の生徒と5名で門脇班を構成してます。
冬山教室の記録
2005/2/11 講習1日目
AM11:00 富士吉田駅集合 古屋さんは、仕事の関係で、夜10:30に門脇氏と他受講生1名で後発組となりました。今回は、太田講師が風邪で欠席、生徒も2名が風邪にやられてしまい欠席でした。
我々先発組は、1名の遅刻者を古関氏に任せ、生徒全員が生野菜サラダと豆腐2丁の”ボッカ”荷物を持たされ鈴木講師と他受講生とともに、11:30ごろタクシー分乗で馬返し到着。ここで身なりを整え、12:00ごろ出発。鈴木講師を先頭に、大曽根さん 石塚さんも我々生徒と一緒に登っていただきました。1合目?3合目では皆汗をかきながらの登りでした。4合目に向かうくらいから雪がチラチラしてきました。この辺から西館章子が遅れ出しました。どうも登りがダメなのです。太股の筋肉の鍛えが足りないと見てます。
途中4回ほど休憩しながら3時間弱で佐藤小屋に到着。3時過ぎから夕食まで、お酒をちびちびしながら四方山話。今回は(毎年そうなのだそうですが)神奈川県の遭対、指導員講習も同時に開催され総勢30名ほど、またもう一つの団体で東京都岳連の方々がいらっしゃいました。
私はいままでテント泊ばかりで山小屋初体験、暖房が効いているし、お湯は飲み放題、ご飯も出てくるし、寝床は分厚い布団を2枚もいただけて寝ると暑いくらい、ビールは350ミリが500円、こんなに快適だったのか、と思ってしまいました。
夕飯は中華丼とサラダ、お酒もほどほどに8時頃いったん寝床へ。そして午前1時過ぎ、後発の門脇さん古屋さんが着くのを待ってました。夜になるとさすがに吹雪いていて、ヘッドランプで登ってくるのはさぞ大変だろうと思っていましたが、やはり顔の周りは凍り付いた姿で午前2時過ぎに到着。それから一緒に一息ついて再び寝床へ3時ごろ、翌朝6時半起床7時朝食、8時出発。
2005/2/12 講習2日目
朝8時に佐藤小屋前集合、佐藤小屋東にある土手を使って講習が始まりました。この日は晴天、風もほとんど無く、講習をした場所からは八ヶ岳、奥秩父の山々、丹沢の山々を遠望に河口湖、富士の町などが一望でき、サングラスがないと雪目になりそうなくらいの日差しでした。
まずは歩行訓練から。登り下りの歩きの基本である膝腰の使い方、つぼ足歩行、ピッケル使い方、ピックの向きを登りは前、下りは後ろに、と練習。次にトラバース。山側の足を進行方向に谷側の足を谷に垂直に、ピッケルを山側に刺しながら歩行。このピッケルをリストバンドにしていると、左側が山側になってしまうとリストバンドをいったんはずして左手に持ち替えるか、右手に持ちながら左の山にピッケルを刺すという若干体勢バランスを崩しそうな形にいなってしまうが、慣れないウチは肩かけのほうが良いのでしょうか?しかし前回の天狗尾根のようなルートではリストバンドでないと岩を登るときに邪魔になってしまう。やはりリストバンドで右も左も山側をさせるように訓練しなくてはならないのでしょうか。
ここでいったん休憩、天気が良くて気持ちがよい。たばこも美味しい。皆で遠くにみえる山々を”あれが三つ峠、あれが大菩薩か?”などなど景色を堪能しながら休憩時間も大いに満喫できました。
休憩後はアイゼンなしでの歩行訓練。アイゼンがいかにフリクションがきいているかを実感することとビブラム底でも同じ要領で歩行がしっかりできるようになること。それが済むと今度は今日講習で使っている土手の一番上までおのおのラッセル。傾斜も手伝って胸くらいの高さに感じられる雪の中をほんの4?5メートルですが自分でラッセルで登り切る。西館両名にとっては生まれて初めてのラッセル体験、何事も初めてのことはうまくいかず、前へ進むというよりも下に沈んでいる方に体力を奪われ、50センチ進んだかと思うと”ずぼっ”と雪におちてせっかく稼いだ高度を30センチほど落としてしまう。こんなのの繰り返しで目の前の土手頂上に着くまでへろへろになってしまいました。やっとの思いで到着した土手頂上で一服、見晴らし良く心地よい風が吹きます。
ラッセル後をたどって土手を下山して昼食休憩。個々人の行動食の交換したり自己紹介がてらの話題で歓談したり、こんな優雅な休憩時間は天気が良いからできること。例年は風と吹雪に煽られて、休憩どころではなく食事時間もろくにとれないとか。本当にお天気に恵まれていました。
さて昼食休憩後はいよいよ耐風姿勢と滑落停止。前回山スポの土手で練習した耐風姿勢をもう一度おさらい。土手を歩きながら笛の音とともに耐風姿勢。登り状態からと下り状態からの耐風姿勢訓練。古関氏の耐風姿勢はなぜか格好良い。格好でやるものではないけれど、すごく決まっていてどっしり感を感じさせるのです。体勢低くピッケルと両足の3点の間隔と体重のかけ方が何とも言えず決まっています。
いよいよ滑落停止。最初は緩い傾斜で腹這いになってピッケルを刺した状態でスタート。シャフトをあげ滑落させて停止姿勢、滑落から停止とくりかえす。はずが私はなぜか停止しない。緩い傾斜なので恐怖感は全くないのであるがいちどシャフトを雪面からはずし滑落停止姿勢をとるも、KADOWAXの歯が雪面に鋭く刺さったまま滑落。悔しくなって何度も繰り返すが、KADOWAXの鋭い歯のあとだけが雪面に残り滑落し続けてしまう。みるにみかねた門脇講師が、シャフトの角度を雪面に直角に置くこと、右手側ピッケルに体重を乗せるがごとく左は顔を下方にむけ左手を閉めることを教わりやってみると、止まった!これを何度か繰り返すと滑落停止できるようになりました。その後はもう少し高い位置から滑落してみて停止姿勢。腹這いからスタートの練習を繰り返した後は、仰向けスタート、お尻と背中で滑落し身体を半回転して滑落停止姿勢へ。緩い傾斜の土手ですが、滑落を停止させることが出来るようになりました。休憩時間を入れて再び滑落停止の練習をし、この日の講習は15:00ごろ終了。最後はラッセルできるルートを選んで佐藤小屋までみんなで交代しながらラッセルして小屋に帰りました。
16:00から佐藤小屋で遭対の方々が冬山講習の生徒たちに簡単な救助のデモをしてくれました。普段持ち歩いているモノを使ったけが人の救助方法です。まず胸などを打っていない人を搬送する方法、ザックの肩ひもをいっぱいの長さにして、それを後ろでにしてストックをさす。ストックは足をかけるためだが、洋服などをテーピングテープで巻いておくと足に痛みが来ないとのことでフリースが巻かれた。こうして後ろにけが人乗せ、けが人の足をストックにのせて、前では普通にザックを背負いけが人を安全な場所まで移動させる方法をみせてくれました。
次に2つのザックを交互にお互いの肩ひもを留めて縦長にセット、ここでブルーシートなどを敷きけが人を乗せ、けが人の頭の回りを洋服などの柔らかいモノで固定させてからブルーシートに包み込み、シュリンゲやテーピングテープを使ってけが人の化をを出しながら全身を包む。2つにつなげたザックの肩ひも部分を取っ手のように使用して、安全な場所までけが人を寝かせて移動させる方法。これはxxメートル以上滑落するとかなりの割合で頸椎に損傷を来たし、その時は首を固定させることが必要であるし、また胸などを打っている場合は背負うことができないのでこの方法でヘリコプターが到着する場所までけが人を移動させる、ということでした。
私にとってはすぐ実践に移すまでは思えませんが、かなり刺激的な講習でちょと緊張が走りました。
夕飯はカレー。飲みもそこそこに8:00ごろ就寝。暖かい布団でぐっすり眠りました。
2005/2/13 3日目
7:00朝食 8時出発。今日は佐藤小屋西方面にある斜面で滑落停止の訓練。3日目も晴天に恵まれました。
昨日の土手よりも距離角度がある斜面での滑落停止訓練。スタート前に斜面下方に2本土手を掘って、一番下にはロープを張り、滑落ストッパーを準備。門脇氏が最後の砦を守ってくれました。”滑落停止できなかったらお尻の穴にピッケル差して止めてやるぞ?”などど脅されながら真剣に滑落停止訓練に入ります。まず腹這い姿勢からスタート。昨日の復習でシャフトを雪面からはずしては滑落してすぐ停止姿勢、滑落して停止姿勢を繰り返し、斜度に慣れる。次に滑り台のように滑って身体を半回転させて滑落停止。最後は背中で思いっきり滑って鈴木講師の笛の音で身体を半回転させて滑落停止。最初は笛の音がなるまで不安な気持ちで滑落し続けて笛の音を聞くといそいで身体を半回転させて停止姿勢をとる。最初は本当に怖かった!けれど数回続けるうちに慣れてきました。
だけど実際の滑落はどうなのでしょうか?今回講習では腹這いからスタートのパターンとお尻背中で滑って身体を半回転させて滑落停止させました。しかし実際本当に滑落してしまうのは頭から落ちたり、ピッケルもリストバンドにつながれて流れてしまったり、滑落姿勢をとるまでにずいぶん滑落してしまうのではないか?また今回講習で滑落したような斜面と雪質ならば、おそらくそんなに滑落せずに止まりそうですが、凍った斜面で斜度があったりすれば想像を絶するほどの早さで滑落していくのではないか?などど考えてしまう。
そんなことを考えながら、滑落停止の練習を出来るのもそうそう無いだろうと思って時間のある限り練習、門脇講師の”よ?し、ジャンボいいぞ?”の声を聞けて、少しは様になってきたかな?と思い、今回の講習は10:30終了。佐藤小屋へ戻り11:30下山開始。馬返し1:00着、閉校式を行ったあとは予約してくれたタクシーに分乗しながら富士吉田へ。
富士吉田から八王子まででビールの乾杯、八王子着後生徒のみなさんと反省会をとおもって声をかけたのですが、集まったのは門脇班のメンバーのみ。門脇さんご本人は富士吉田で講師・遭対・岳連の方々との反省会の後、八王子の”門脇班反省会”へ馬場氏とともに合流、9:00頃まで反省をかさね焼酎のボトルを何本あけたことか??
門脇班のメンバーはお一人がすでに引退されて、常に”企業努力”を怠らない、昔船乗りの経験のあるお話好きの方です。彼は船の知識を山に応用したりテレビでみた”クッキング”方法を山の食事に取り入れたりと創意工夫のある方でお話を聞いているととても面白かったです。中でも古関氏をもうならせた逸品で、100円ショップで極細引きを買ってピッケルの持ち手になる部分を十字にくるくると細引きを上手に巻いて、ピッケルの持ち手の冷え防止を施していました。これは同時に滑り止めににもなるらしいです。
またもうお一方は”精神科医”の先生。とても穏和なかたです。門脇さんと馬場さんはお互いを”一度は見てもらった方が良い”などど言い合いながらおびえてました。
次回の谷川での共同生活が楽しみです。
雪上歩行、ピッケルの使い方、耐風姿勢、滑落停止 と冬山の基本の”き”を反復練習できて本当に勉強になりました。特に滑落停止は”本番”があっては困ることだがいざとなったら完璧にできないといけない。そう思うと、身体で覚えなくては、と何度も何度も繰り返し繰り返し練習ができたことは本当に良かったと思います。
次回は3/12?13 谷川で雪上生活技術です。今まで勉強した歩行技術、耐風姿勢、滑落停止、ラッセル などを使って谷川で歩き、また雪洞で生活をし、翌日天気次第で谷川岳まで、というメニューです。
MSCの新人3人組とも、すでに会山行などで雪山を体験させていただいてますが、このような講習で改めて1つ1つの動作を確認しながら練習できたのは良かった、と話していました。