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- 執筆 :
- msc_kiroku2 2006-6-17 13:15
メンバー:平川(CL、記録) 上林SL
梅雨空の合間、少しだけ覗いた晴天に期待して奥多摩の倉沢谷本谷に行く事になった。メンバーは上林さんと私の2名だけだが、昨日から多くのメンバーは那須に山菜採りに行っているので仕方が無い所だ。実は私も山菜組だったのだが日曜が休めなくなった為に土曜の時間潰しを画策していた所で上林さんが沢への誘いを持ち掛けてくれたのであった。
倉沢谷本谷は実に良い沢である。隠れた銘渓と言っても過言でなく、初級者から上級者まで存分に楽しむことが出来る。実は私自身は今回で5回目の入渓であり、その楽しさゆえ沢の経験の無い人を何度も誘って楽しんだ事があったのだ。今回は翌々週に控えた訓練山行の候補として考えていた事もあり、忘れかけていた沢を訓錬の下見も兼ねて再訪となったのであった。
上林さんと8時に立川集合。ちょっと遅めの行動開始になるが、倉沢谷は遡行時間も2?3時間だし、何より気温が高くならないと入渓は難しいのだ。
奥多駅から東日原行きのバスに乗り倉沢で下車。バス停前のちょっとした駐車スペースで入渓の準備をする。目の前の林道を50m程行った斜面を下った所が入渓点だ。夫婦らしい2名はこの下降をためらっている様子で、こちらを観察している様であった。
遡行開始は10時30分。この沢は何時もの沢登りと違って、本当に浸る泳ぐの連続である。のっけから河原を歩くのではなく水流の中を歩くのだ。15分で最初の釜に出合う。まだ体も暖まっていない(尤も此処ではいくら歩いても暖まることは無いのだが)し、いきなり泳ぐ事に躊躇していたら上林さんが左からへつり気味に泳ぎだした。仕方なく後から続いて漬かったが予想以上に水が冷たく、早く上がりたい一心でじたばたしてしまった。
その先10分ほどで大釜を持った5m2段の棚に出合う。ここは非常に印象に残っている所で、泳いで残置のシュリンゲにA0で登る。ここは沢や岩の経験が無い人にはちょっと難しいバランスが必要で、今迄は連れてきた人が釜に飛び込むのを見ては上から見て笑っていたものだ。しかし、今日はヤバかった。何時も通りのつもりで泳いで取り付きシュリンゲを掴む。そこから先が何だかどうしたら良いか解らず、まごまごしているうちにズルズルと沈んでしまった。やり直しと思いながら這い上がってみるが、右手で這い上がった記憶を頼りに手探りしているうちに『落ちる』と思った直後、背中から派手にダイブしてしまった。泳いで戻り上林さんと交代。上林さんも探っていたが、左に何やら探し当てた様子。じわりと体を引き上げ、見事に一発で仕留めた。『そうか、左か』と、再度挑戦。なる程、唯一のガバがそこに隠れていた。この上は細い水路を突っ張りで越えたり釜を泳いだり、水から上がる事がほとんど無いくらいだ。 休みながら感じたのは、疲れの感じがプールで泳ぎ疲れた時のそれと一緒である。それと何しろ寒い。休みたいし動いて暖まりたいし、これでは2週間後の訓錬は無理だなと早くも諦める。 落ち口が狭まった3mの取り付きでは手前で流され、へつりながら落ち口まで一足の所で墜落してまた流された。半分沈みながらふと見た光景は何処かで見た記憶があったように思えた。『そうだ! 4年前に来た時にもここで流されたのだと思い出した』。上林さんもここで落差のある派手なダイブを楽しんでいた。
結局こんな調子は終了点まで続いた。2箇所ほど直登不可能な滝を巻き、ひたすら水の中を歩き続けたが、体が冷え切った為か足元がおぼつかなくなって来た。滑りやすい事も一因だが、極端にバランスが悪い気がする。ガバのあるちょっとした高さの岩場でも体を引き上げる事が出来ず、お助けで引っ張り上げてもらったり予想以上に梃子摺ってしまった。上林さんに感謝! 終了点はずっと平行してきた林道が沢を横切るポイントでその先は3段の見事な大滝に出合う所である。林道に這い上がって冷えた体を温めるべくラーメンを作る。『それにしても漬かりっ放しだね』と話ながら最近中々経験しなかった『落ちる』を堪能し、好きな泳ぎを存分させてもらった。『疲れた』と言うより『ふやけた』という感じである。随所に見る大釜はじめ、渓相も素晴らしく暑くなってからなら非常に楽しめる沢である事を再認識した。水根より数段楽しめる事は確実だ。
13:50、登ってきた沢床を林道から見下ろしながらバス停まで歩く事30分。この手軽さがこの沢の魅力の一つだ。30分程待って来たバスに乗り、奥多摩からホリデー快速車内で締めくくりをした。
*隣の川苔谷も似たような渓相で楽しめる筈。逆川と繋げて遡行するのも楽しいかも・・。