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山行記録 カレンダー
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カテゴリ : 
執筆 : 
msc_kiroku2 2008-3-9 23:50
日程:2008年3月8日(土)?9日(日)
山域:八ヶ岳 阿弥陀南稜
山行形態:雪稜
メンバー及び役割:木村(CL、食当、記録)、山本(SL)

記録:
3/8 舟山十字路1620m(9:30)?阿弥陀南稜取付き1750m(10:30)?立場山2370m(12:30)?
青ナギ2350m(13:00)?無名峰2564m(14:20)?岩稜帯前のコル2500m(14:30)幕営
3/9 岩稜帯前のコル2500m(7:30)?P3 2600m(8:30)?阿弥陀山頂2805m(9:30)?御小屋尾根分岐2820m(10:00)?御小屋尾根2600m付近(10:30)?不明(財産境界?)ルート?南沢大滝付近2100m(14:30)?美濃戸山荘1720m(15:30)?美濃戸バス停1500m(16:10)

 何回となくチャンスを逃しているうちになにがなんでも行かなければ気がすまなくなってしまった阿弥陀南稜。私にとっては冬のバリエーションルートの第一歩ということで、あまり気乗りしないという山本さんを拝み倒し、期待いっぱいで出発したのであった。
 3月8日JR高尾発の鈍行で山本さんと落ち合い、茅野駅まで各駅停車の旅となる。暖かい陽気、春の日差しの中、これから雪山へ行くという感じがまったくしない。8:50に茅野駅着、予約したタクシーで舟山十字路へ向う。タクシーの運ちゃんはどこまで行けるか分からんよと言いながら、5?6台の軽トラ集団の後に続きスルスルと林道を進んでいく。舟山十字路の少し手前で軽トラ集団がストップしたため、そこでタクシーを降りる。タクシーは切り返しができずバックで戻る破目に。軽トラの人達は有害動物駆除隊だったようで、猟銃を肩に山へ入っていった。私達も9:30に舟山十字路を出発し、ゆるゆると林道を進んでいく。小一時間も歩くと阿弥陀岳という標識があり、林道を右へ入ると阿弥陀南稜への取付きだ。ここから20分くらいの急登で立場山へ続く尾根に出る。息があがったので一本たてる。雲ひとつない青空だ。風もなく、なんて素晴らしい日に山へきたんでしょう!という感じ。渋々だった山本さんも「これは来て良かった」とのこと。不意にパーンという銃声が。有害動物が駆除されているのか?
ここからは樹林帯を少しづつ上がっていく。幸い踏み跡がしっかりしていて非常に歩きやすい。ただし踏み跡を一歩はずれると太腿までもぐってしまう。途中2組ほど追い越し、粘って立場山山頂へ。山頂は展望なしだが少し進むと対岸の権現岳方面が見えてくる。昔、山本さんが働いていたキレット小屋などいろいろ説明してもらう。赤岳?権現岳は去年できなかった宿題の一つなので是非歩いてみたいところである。さらに進むと青ナギという場所に着く。ここで廣川健太郎氏のパーティーに遭遇。カメラの三脚を持っていたので何かの取材のようだ。トレースがあるので迷いなく青ナギを通過。トレースがないと結構ビビる場所かもしれない。まだ時間が早いので無名峰まで足を伸ばすことにする。樹林帯を抜けたあたりでアイゼンを履き稜線を少し行くと無名峰に到着。ここから先は岩稜帯なので、今日は無名峰直下のコルで幕営することにする。まだ14:30、寒くないのでテントの外でビールで乾杯する。同じ場所に4組のパーティーが幕営することになった。風がないのでとても快適。いつになく時間と心に余裕があるためか山本さんの絶品チャーシューをつまみに二人とも酒が進む。夕焼けや星空を堪能し20:00頃就寝。
3月9日5:30起床。ちょっと寝過ぎてしまった。昨日の残りのカレーを食べる。一晩置いておいしくなっている。そうこうするうちにいくつかのパーティーが私達のテントの前を通りすぎていく。微妙な間隔で7:30に出発。今日もすこぶる天気は良い。少し風はあるけど、2月の富士山に比べればどうということはない。P1、P2の岩峰帯は左側を巻き気味に通過する。P3の手前で3人のパーティーに追いつく。聞くと総勢7人の一行だそうで、風の除けられる岩陰でしばらく待つ事にする。身支度をして15分程経過してから出発。左側の急斜面を少しトラバースするとルンゼの取付き部に着く。さっきの3人がまだそこにいた。ロープを出して登っているので時間がかかるらしい。しばし待ちながら雑談。京都からはるばるやってきた山岳会で、2週間前の強風の時に敗退し、今回再チャレンジなのだそう。京都の雪稜の松田さんという方で、なんと蝸牛の古関さんと海外遠征の際同じパーティーだったらしい。山の世界って意外と狭いのかしら・・・?
いよいよルートが空いたので登攀開始である。雪に埋ったルンゼを見上げ、なんとか登れそうなのでノーザイルで木村トップでいく。ピッケルとバイルでダブルアックスにして登っていく。アックスのさし方等を山本さんに教わり実践してみる。前の人のスタンスがあるし、そんなに急な傾斜でもないのでホイホイ進んでいく。下を見ると結構な高度感があり変な所で立ち止まりたくない。ほどなくすると京都のパーティーに追いついてしまった。人工の支点があったので確保して様子をみる。やはり大人数でロープを出すとそれなりに時間がかかってしまうようだ。雪のルンゼの上部は草と岩・雪混じりの急な斜面で、こちらの方が嫌な感じがした。そこを抜けると稜線に出て、最後の急登を越えると丸く広い阿弥陀岳の頂上である。360°の展望で実に爽快な気分。ちょうど山頂に居合わせた山岳会“森羅”の人達に写真を撮ってもらう。森羅の旗を見て、MSCも会の旗を作ろうということになる。
しばし休憩の後下山開始。中岳?赤岳縦走案も出たが無理せず御小屋尾根を下ることにする。御小屋尾根の分岐から先は踏み跡がなかったが、一直線に尾根が伸びているので快適に進んでいく。所々かなり切り立った部分があり、そこは慎重に行く。樹林帯に入って少し進むとオレンジのテープがやたらと目についた。尾根の真っ直ぐなルートからやや右にそれていく感じがしたが、テープに導かれるまま進んでいった。踏み跡が途中でなくなったがオレンジのテープと赤い印がずっと先まで続いているのでとりあえず進んでみる。後から思えばここで少し考えるべきだった。だんだん傾斜がきつくなり足がズボズボ雪にはまる。時には腰までもぐってしまうことも。なにか変だと思いながらもワカンをつけてひたすらテープ沿いに下る。なんとなく分かってきたのは、御小屋尾根からはずれてしまったということと、テープ沿いに行けば南沢に降りられるだろうけどかなり厳しいルートに入り込んでしまったということだ。ついにロープを出さないと下れないような傾斜になってしまった。4回ほど雪面を懸垂下降する。雪山でワカンをつけたまま懸垂下降するのは初めてだ。手間取る私に山本さんのいらついた声が飛ぶ。支点になる木を選んでピッチを切っていくので結構時間がかかる。
それにしても急傾斜の斜面にしつこいくらいテープがついているのは疑問だ。一体何のルートなのだろう?一般ルートにしては相当厳しいのである。やや傾斜が緩くなったので、ワカンでさらに進んでいく。なんとなく尾根どおしを歩いていくと開けた鞍部に出た。遠く一直線上に美濃戸山荘が見える。足元の沢を降りて行けば南沢に出られそうだ。自分達の現在位置がなんとなく地形図上で分かってきた。恐らく南沢の登山道にかなり近い位置にいる。沢はラッセルが大変なのと雪崩の危険があるので止めて、テープの導く尾根沿いをさらに行く。残地のトラロープや木にしがみつきながら急斜面を降りていく。進退極まりここでもロープを出した。こんなことになるとは誰が想像しただろう。いつまでこの下りが続くのかと嫌気がさしてきた頃、左手の対岸に巨大な氷瀑が見えた。後で調べたら南沢大滝だった模様。アイスの人が通るルートがあるのではと思い下を見ると、踏み跡があるではないか!うわーい、人間の足跡だ!こんなにトレースがあるのが嬉しいとは。14:30ようやく意味不明のルートを脱出する。
ルート上に木の立て札が数箇所あり、“H19.10.7中小”などと書かれていた。これは財産境界(マツタケとか)の印らしく、毎年誰かがこの木の札を立てているようだ。雪が無くても十分に大変なルートであることは間違いない。とんだ寄り道をしてしまったが、なんとか帰りのバスに間に合い充実した2日間を終えたのであった。
帰りのバスの中で門脇さんに今回の山行を報告した。
木「すごく天気が良くて、阿弥陀南稜は快適に登れました!」
門「そりゃあ、行った相手が良かったんだよ。」
木「御小屋尾根の途中で道を間違えて、とんでもないルートを下山するはめに・・・。」
門「そりゃあ、行った相手が悪かったんだよ。」


1日目、素晴らしい快晴の中、青ナギ到着。まだ元気。


2日目、P3のルンゼにて。やや渋滞中です。


360度の絶景です。


阿弥陀頂上!


快適に御小屋尾根を下るはずが・・・


とんでもないルートを下山したのであった。


阿弥陀南稜ルート図

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